トレッキング初心者が始めちゃったブログ

【ここだけの話】『トレッキング初心者が始めちゃったブログ』 と、タイトル設定したけど、今のところ主な活動は、「山登り」、「山歩き」、要は登山ですね。これが実に楽しい。タイトル下にも書いたけど、本当に不思議なくらいにこの世界に引き込まれていく自分が突然として顔を見せた。自分はいい年齢(トシ)なので、余り危険なことをする気はないけど、若いうちにこの世界を知っていれば、もしかしたら冒険心みたいな気持ちに灯がともってしまったかもしれない。この「山の世界」、かなりお勧めである。

2015年1月12日月曜日

凍(とう)

この小説、あの山野井泰史が妻の妙子さんとともにヒマラヤのギャチュンカン北壁に挑み、登頂後の下降時に遭難しかけ(「奇跡的に」というと、山野井氏は憤慨するだろうが)生還してきた様をノンフィクション作家の沢木耕太郎が2005年に新潮に掲載したもの。当時はタイトルを「百の谷、雪の嶺」としていたそうだが、単行本にするにあたって改題したそう。
山野井さん、凄い人です。もち妙子さんも。
この小説の中で、作者の沢木は山野井とギャチュンカンの出会いや山野井のクライマーとしての成り立ちから描きはじめ、山野井らの山中での様々な葛藤や細かなクライミングテクニックを詳細に書き綴り、帰国してからの凍傷手術を経ての山に対する気持ちの変化を、まるで本人の気持ちを代弁するかのように書きなぞらえていた。
ただ、山野井はほかの何かのインタビューで、「僕らが経験したヒマラヤはもっと美しくて、もっと偉大で、もっと厳しいものだった。僕らが感じたものは、やっぱり僕らだけの大事なもの」と、沢木を褒めたたえながらも、山は行った者でなければ、そこで感じた者でなければ本当の山は分からないといった意味のことを言っていた。そこだけは、間違いなく自分も共感できる。やっぱり山の良さは人にはなかなか伝えられなくて、仮に同じ山頂に別の人間が同じような行程で登ったとしても、やはり感じ方はそれぞれにあるような気がして、やっぱり、その辺は山野井氏が言うように「自分たちが感じたものは自分たちの大事なもの」なのだろう。

ラストシーン、この厳しい自然環境を描きながらも、なにかあったかくほのぼのとした気持ちにさせる辺りは、さすが沢木さん。おみごと。

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