トレッキング初心者が始めちゃったブログ

【ここだけの話】『トレッキング初心者が始めちゃったブログ』 と、タイトル設定したけど、今のところ主な活動は、「山登り」、「山歩き」、要は登山ですね。これが実に楽しい。タイトル下にも書いたけど、本当に不思議なくらいにこの世界に引き込まれていく自分が突然として顔を見せた。自分はいい年齢(トシ)なので、余り危険なことをする気はないけど、若いうちにこの世界を知っていれば、もしかしたら冒険心みたいな気持ちに灯がともってしまったかもしれない。この「山の世界」、かなりお勧めである。

2018年5月6日日曜日

2018黄金週間山行『赤岳』(2日目)

赤岳山頂。向こうに見える建物は赤岳頂上山荘。
《1日目から続く》
前日は、重い荷物を運んでの疲れや(まあ、普段の疲れも蓄積していたのだろうけど)、早い時間から飲んだビールも手伝って、星空を見ることなく寝入ってしまった...。
一夜明けたこの日は赤岳を歩くだけの予定なのでそれほど急ぐ必要もなく、暗いうちに目が覚めた後も寒いことをいいことにシュラフに入ったまま、の~んびり。脇に置いていたスントを見ると、温度はプラス5°C。思ったほど冷え込まなかったんだと思いながら、二度寝を楽しむ。今回の山旅の目的のひとつは「のんびりすること」でもあったので、早速実践できてしまっている。

朝食準備中。テン泊時は基本、アルファ米を食してます。
ちなみにこの日の歩きは文三郎尾根から登頂を目指し、地蔵尾根で下りてくる、そんなスタンダードなコースを考えていたが、当日になってもまだ歩き始めの時間に迷っていた。つまり、文三郎尾根にはそれなりの雪が残っているだろうから、朝早く歩くと、その雪はカチコチに凍っている可能性もあるし、かといって午後になると、雪が緩んできて踏み抜き天国になるだろうから、どっちも避けたい。なので、雪の状態が程よい固さになった時に歩けるよう、八ヶ岳の北側に面している文三郎尾根に太陽の日が差し込み始めた頃に歩き始めようと考えていた。

文三郎尾根。すでに雪が溶けだし階段の一部が露出している。
8時頃に遅い朝食をとった後、テント前から山の状態や歩き始める人たちを見送っていたが、そのうちにやっぱりとでも言おうか、居ても立ってもいられなくなり、予定よりやや早めの9時前にテントを後にした。ようやく出番が回ってきたサブザックを背に、初めて使うヘルメットを被り、とりあえず防寒着はザックの中にしまい、颯爽と(自分ではそのつもり。気分は既にエベレストの山頂アタック)、文三郎尾根を目指した。ところが歩いて10分くらい経ったところで、文三郎の分岐を過ぎてしまったことに気づく。自分のドジさ加減に呆れつつも、戻って分岐を確認してから改めて歩き始めたが、このことがむしろ肩から余計な力が抜けて、冷静な自分を取り戻すことができた。

文三郎尾根。例年に比べると雪は少ないらしい。
文三郎尾根はしっかりと雪が残っていて、狙いどおり固さは程よい。もしかしたら、もっと早い時間にスタートしても大丈夫だったかもしれないくらい。アイゼン、ピッケルともしっかりと雪面を捉え、文三郎特有の急な直登をぐいぐい登っていく。バランスを崩すのが嫌なので、途中、振り返ることはしないで、とにかく前だけを見て、足の運びを慎重に登った。ようやく一息つけそうなテラスに辿り着いたので初めて振り返ると、さっき出発した行者小屋が既に小さくなっていた。そして遠くには北アルプスが、すぐ左隣には阿弥陀岳がいつの間にかデーンと居座っていた。この日は雲ひとつない快晴。しかも恐れていた風も全くなく、むしろ暑いくらいのコンディション。最高の山日和だ。しばらく見ていたい気分だが、呼吸も整ってきたので、再び上を目指す。

中岳分岐付近から赤岳山頂付近を仰ぎ見る。
途中、すれ違った人に「中岳分岐からは、むしろアイゼンがない方が歩きやすい」との情報を得たので、言われた通りにしてみる。なるほど、分岐からは雪はほとんどなく、特にキレット分岐からの鎖やハシゴはアイゼンを装着したままでは、歩きにくいだろう思われた。そのキレット分岐からの連続する鎖場は数年前の自分は恐らくビビっていただろう傾斜だが、多少の経験を積んだ今の自分にとっては楽しい以外の何物でもなく、登りながらも「高所恐怖症は改善することができるものなんだ~」と、喜びを感じながら高度を上げていった。最後のハシゴを登るとき、その先に山頂標識が見えた際には、正直自然に顔がにやけてきた。とうとうこの自分が、あの赤岳山頂に立つ時が来たのだと、感動とともに猛烈な喜びが湧いてきた。そして登頂。思っていた通りの360°の大パノラマ。遮るものは何もない。北アルプス、御嶽山、中央アルプス、南アルプス、富士山、奥秩父の山々、そして目の前の八ヶ岳連峰。全てが鮮明に見えた。今となっては見慣れた山々かもしれないけど、今はあの赤岳山頂から望んでいる。

権現岳方面、遠くには南アルプスが。
山歩きを始めてからのひとつの目標としてきたこの赤岳登頂はやはり自分にとっては一つのけじめと言える。大げさかもしれないけど、八ヶ岳を登ったという勲章を手に入れたかのような気分だ。トレッキング初心者も経験を積めば、こんな山にも登れるんだよ的な山のひとつがこの赤岳だと自分は思う(分かるかな?)。そんな感慨を1人密かに味わった後、気持ちを切り替えて下山へ。こんな時だからこそ、下山は絶対にきれいに終わらせたい、そんな気持ちが強かったので、いつも以上に慎重に歩いた。営業前の頂上山荘でアイゼンを装着し直して、ぐずぐずの雪と岩がミックスとなった天望荘までの下りを下り、天望荘前では昼食をとってパワーを回復させ、地蔵尾根を目指した。地蔵尾根は聞いていたほど雪はなく、状態としては文三郎とさほど変わらない印象。時折佇むお地蔵さんに手を合わせ、無事の下山を祈り、下りのアイゼンワークを慎重にゆっくり、ゆっくりと下りた。途中の階段までは、雪はミックスの状態だったが、階段を降りてから下は雪の世界。正午を過ぎて大分気温が上がってきていたので、踏み抜きには十分注意して、トレースを外さないように歩いた。

地蔵の頭に佇むお地蔵さん。向こうのピークは横岳。
途中の林を抜けると、そこは行者小屋、無事たどり着いた時にはホッとした半面、「ああ、終わっちゃった」という感じ。天気は相変わらずの快晴で、時間も体力も十分に余っていたので、こんなことなら横岳、硫黄岳と縦走するんだったと、悔やんだが、それは次回以降の楽しみに取っておこうと誓う。とりあえず、この日は残りの半日を山を眺めながらゆっくりと過ごすこととした。晴天の下、赤岳を目の前に寝そべりながらビールを片手に、持ってきた山野井泰史の「アルピニズム」を読む。なんとも贅沢な時間である。そしてこの日も星空を見ることなくシュラフに潜り込みぬくぬくと眠りについた。

下りた後はテント前でゆっくりと過ごす。大同心が美しい。
【2日目(赤線):Start 8:50行者小屋~9:59中岳分岐~10:33赤岳山頂~11:18赤岳展望荘前(昼食)~Goal 12:31行者小屋】
総行程は、距離約 3.8km、出発地点標高2352m、最高標高2899m(赤岳山頂)、最低標高2352m(出発地点)、移動平均速度 約0.9km/h、総所要時間3h40m(recorded by garmin)

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