トレッキング初心者が始めちゃったブログ

【ここだけの話】『トレッキング初心者が始めちゃったブログ』 と、タイトル設定したけど、今のところ主な活動は、「山登り」、「山歩き」、要は登山ですね。これが実に楽しい。タイトル下にも書いたけど、本当に不思議なくらいにこの世界に引き込まれていく自分が突然として顔を見せた。自分はいい年齢(トシ)なので、余り危険なことをする気はないけど、若いうちにこの世界を知っていれば、もしかしたら冒険心みたいな気持ちに灯がともってしまったかもしれない。この「山の世界」、かなりお勧めである。

2017年7月23日日曜日

初歩き南アルプス『鳳凰三山』(2日目、縦走編)

地蔵岳山頂からオベリスクを仰ぎ見る。そのスケールに圧倒!
(1日目、苦闘編から)
散々な山小屋泊まりを終え、周りの皆さんとともに午前3時前に起床した自分。よく寝られたのかどうか分からないボヤ~っとした状態で身支度を整えていると、これから訪れる現実に次第に興奮を覚え始め、あっという間に目がぱっちりと覚めてきた。「よしっ、行くぞ!」って感じで。
とはいえアルファ米の朝食を終え、なんだかんだ出発となるとすでに午前4時。それでもまだ夜は明けていない。ヘッドライトを点け暗い急登に向かっていく。歩き始めて30分もたたないうちに辺りは薄明るくなり始め、それとともに今回の山行で初めて樹林帯を抜け出し、花崗岩の砂礫地帯に突入した。これぞ鳳凰三山の景色、「ようやく来たぞ」と一気に気分は高まる。その後、山頂間近で夜明けを迎え、久しぶりのご来光にお目にかかった。山で見る日の出はやはりいい。心が洗われるとでもいうか、苦労して登ってきた者だけが得られる特権だろう。そして目の前にはあのオベリスクがドーンとそびえていた。憧れの山域にきょろきょろとしながら、歩き始めから1時間で地蔵岳山頂に到着。初めての地蔵岳はオベリスクの大きさに圧倒され、数々鎮座する地蔵に厳かな雰囲気を感じ、オベリスクの裏側に回ると甲斐駒ケ岳が威風堂々と目の前にそびえていた。なんという場所なんだここは。なんていうか...興奮が収まらない!

この地蔵たちは、登山者がいようがいまいが、晴れていようが雪であろうがいつもここで静かに佇んでいるのだろう。
興奮さめやらぬまま地蔵岳を後にし、次に目指すは観音岳。今回の山歩き、メインとなる三山の縦走は距離にして約3km。普通に歩いてしまうと1時間少々で歩ききってしまう。せっかくここまで苦労して登ってきたのに、それではもったいないと、ここからの尾根歩きはゆっくりじっくり楽しんで歩くことにした。

振り返ると地蔵岳のオベリスク。そして、遠くには八ヶ岳が。
さて観音岳は鳳凰三山で最高峰の2840mを擁し、Web情報では眺望が最高らしい。はやる気持ちを抑えて、ゆっくりゆっくりと、周りの景色をしっかりと嚙みしめるように縦走を楽しんだ。それにしてもこの尾根歩き、花崗岩の白い砂地にはいまつの緑が冴え、正面には目指す観音岳や富士山が、右手には標高日本2位の北岳が、後ろには先ほど歩いてきた地蔵岳や八ヶ岳がそれぞれ見えている。加えて今日は最高の青空。素晴らし過ぎる...。コースは多少のアップダウンはあるものの、危険個所もなく超快適。このままずーっと歩いていたい気分だ。
観音岳山頂に到着すると、その眺望に絶句。しばらく無言のまま山頂に積み上がっている大岩の上に立ち、360℃を見回した。正面から薬師岳、富士山、北岳をはじめとする白根三山、仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳、遠くに北アルプスの山々、先ほどまでいた地蔵岳、八ヶ岳、秩父の山域、日本の名だたる山々がここで一望できる。本当にため息しか出てこない。山をやっていてよかった。日頃の雑事も小さなことに感じ、また頑張れる気持ちを持つことができた。周りの登山者たちも笑顔で山々を眺め、様々なポーズで記念写真を撮っている。そんな様子も微笑ましく見え、自身の体もスーッと軽くなる感じを覚えた。「よしっ、次に行こう」と呟く。

朝日に輝く北岳(右側)とその奥の仙丈ケ岳。どちらも3千m峰だ。
その後、白砂の広場のような薬師岳山頂でコーヒーを飲みながら最後の眺望をしっかりと味わい、今回の山行の尾根歩きを終えた。下りは中道コースで一気に青木鉱泉へ向かったが、このコースがすごい。というのも、傾斜のきつさとその長さ。途中、2~3組のパーティーとすれ違ったが、自分ならこのコースをとてもじゃないが登ろうとはしない。相当きついと思う。自分の場合下りだけど、むしろ下りの方が足をかなり踏ん張ることになるので、このコースの核心部分の約2時間の間に膝はかなりふらふらになってしまった。何度もこけそうになってしまったけど、やはり年齢(トシ)なのかな、自分。
とはいえ、なんとか青木鉱泉までたどり着き、お風呂をいただいてきた。1000円、沸かし鉱泉、石鹸のみ。正直「う~ん」だったかな。まあ、気持ちよかったけど。
さて、今回の山歩き、目下の目標だった鳳凰三山は、稜線まで出るのは大変だったけど、天空の稜線は期待どおり最高だった。しいて言えば、稜線が短ったので物足りなさはあったかな。今度は北沢峠から入って、早川尾根、鳳凰三山を歩いて、夜叉神峠で下りる計画を立ててみよう。やっぱりここは眺望が素晴らしかったから、ぜひもう一度歩いてみたいと思う。ということで、いずれにしてもやっぱり「山サイコー」ってか。

薬師岳山頂の手前から。富士山も頭を見せている。


【2日目:Start 鳳凰小屋~鳳凰三山~中道~青木鉱泉(青線)】
総行程は、距離10.2km、出発地点標高2400m、最高標高2840m(観音岳)、最低標高1087m(青木鉱泉付近)、移動平均速度 約1.5km/h、総所要時間6h40m(GPS端末故障のためおおよその数値)

にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ このエントリーをはてなブックマークに追加

2017年7月20日木曜日

初歩き南アルプス『鳳凰三山』(1日目、苦闘編)

工事中のドンドコ沢入口付近。鳳凰三山山頂付近は雲に包まれている。
またもやご無沙汰のブログ投稿。というのも、引っ越しという我が家的には大プロジェクトを実行していたからで、好き好んでサボっていたわけではない...。いやこれホント。
そんな引っ越しの後始末がまだ残る中、でもせっかくの連休。家族の白い眼とブーイングが鳴りやまぬ中、強行してきたのは南アルプスは『鳳凰三山』。この山はこれまで何度ともなく計画を立てていたものの、雨によりなかなか歩くことができなかった山で、自分にとっては目下の目標としてきた山。なので、今回の実現はひとしおの感動があった。
山をやっている方は『鳳凰三山』と聞くと、南アルプスの中でも前哨的な位置づけにあるイメージを持つだろう。自分も同様で、南アルプスを代表する甲斐駒ケ岳や、北岳などの3000m峰に先立って挑む山、そんなあいさつ程度の気持ちで臨んだが、いやいや、この山、山頂に至るまでの樹林帯の深さや稜線に辿り着いてからの眺望のすばらしさは、あいさつ程度で歩くには失礼極まりない、れっきとした日本アルプスの山だと身をもって体感することができ、苦しみながらも実に充実した素晴らしい山歩きとなった。

登山口のある青木鉱泉。下山したらお風呂に入ることを楽しみに、登山道に向かう。
まずは登山口へのアクセスだが、JR中央本線の「韮崎駅」から山梨中央交通が運行している季節限定の登山バスに乗り込み、青木鉱泉へと向かう。青木鉱泉はWebで見た通り古めかしいながらも落ち着いたたたずまいの温泉(?)宿で、山を下りたら一度は入ってみようと、下山後の楽しみを抱えて、午前8時30分、その宿の脇が入口となっている「ドンドコ沢登山道」に踏み入った。このコースの見どころは沢沿いを歩くことから水との触れ合いがあることで、途中、いくつもの滝を見ることができ、夏山にとってはありがたい涼を所々で味わうことができるコースとなっている。
そうは言ってもこの日は2か月以上ぶりの山歩きでトレーニング不足は否めなかったし、気温も相当上昇しているので、歩き自体に多少の不安はあった。一方で登山口付近に駐車してあった自動車の台数から見ても相当の登山者が山に入っているようで、テン場25張りが最高という公式ホームページの情報からしてもそんなにゆっくりとできる山歩きではないことは分かっていたから、滝見にはそれほど固執せずに歩いていこうと決めていた。
ただ、歩いてみると、やはりと言うかとにかく暑い。下界は35℃にもなるというこの日、登山口が1100mといっても、うっそうとした樹林帯の登山道は風が通らずむしむしとした状態。ゆっくりと歩いていたにもかかわらず、シャツ全体が汗でびしょ濡れになるほどで、途中の渡渉の際などには冷たい川の水で顔をバシャバシャと洗うのがとても楽しみだった。しかも登山道はなかなかの傾斜で、それが結構続く。いろいろなブログで「きつかった」的な投稿がされていたことをふと思い出し、根拠のない自信から「それほどでもないだろう」と高をくくっていた自分。途中、何度も高度計を見ては、目指す鳳凰小屋の標高およそ2400mに辿り着くにはまだまだだと、深い樹林帯が続くこのコースの厳しさを身をもって知った。やはり南アルプスはそんなに甘くないんだなと、一人歯を食いしばりながらひたすらに今日の宿、鳳凰小屋を目指した。

樹林帯のつづく登山道。汗だくになりながらも今日の宿、鳳凰小屋を目指す。
ほぼ一貫して急登が続く樹林帯の登山道をやや脱水症状ぎみになりながらヘロヘロになり歩き続けて約5時間。1300mの標高差を登り詰め、午後1時30分に目指すは鳳凰小屋に辿り着いたが、ここで衝撃の事実、なんと早くも恐れていたテン場満杯の事態。さらに恐ろしいのは、そうしたテン場にありつけなかった登山者は専用の部屋に素泊まりで詰め込まれることになった。ああ、テントなら自由な空間が800円で手に入れられたのに、この専用部屋は6畳間に12人が2500円ですし詰めに(涙)。そうなれば早く寝たほうが勝ちと、持参した缶ビール2缶とウイスキーを一人テラスでグビグビっと飲み、午後5時過ぎには早々とシュラフに潜り込んだ...。まではよかったけど、大半の人がお休みタイムとなる8時過ぎにはその騒がしさで目が覚め、さらにはすし詰め状態の部屋が恐ろしく暑くなっていることに気付き、しかも真っ暗な部屋の中であちこちで得体のしれない生き物(おそらく虫)がバッタバッタ、バサバサと飛び回り、それがたまに自分の顔にまとわりつき、酒の勢いがなくなった自分にはとても寝られる状態にはなかった。最悪の小屋泊まりとなってしまった。そう言えば小屋のオヤジさんが言っていたけど、1年で1番の宿泊者の多い日だそう。なんてこった...。
今日の宿、鳳凰小屋に到着。ただし、この日の夜は山小屋最悪の夜が待っていた。
まあ、そんな中にありながらもウトウトして気が付けば翌朝3時前、今度は周りがご来光狙いでざわつき始める。自分はそうした予定にはなかったけど、もう寝てられないなと一緒に起きることとした。そう、2日目の始まりである。(2日目、縦走編につづく)

【1日目:Start 青木鉱泉~ドンドコ沢~鳳凰小屋(赤線)】
総行程は、距離5.3km、出発地点標高1100m、最高標高2400m(鳳凰小屋)、最低標高1100m(おそらく青木鉱泉)、移動平均速度 約1km/h、総所要時間5h00m(GPS端末故障のためおおよその数値)

にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ このエントリーをはてなブックマークに追加