トレッキング初心者が始めちゃったブログ

【ここだけの話】『トレッキング初心者が始めちゃったブログ』 と、タイトル設定したけど、今のところ主な活動は、「山登り」、「山歩き」、要は登山ですね。これが実に楽しい。タイトル下にも書いたけど、本当に不思議なくらいにこの世界に引き込まれていく自分が突然として顔を見せた。自分はいい年齢(トシ)なので、余り危険なことをする気はないけど、若いうちにこの世界を知っていれば、もしかしたら冒険心みたいな気持ちに灯がともってしまったかもしれない。この「山の世界」、かなりお勧めである。

2018年12月1日土曜日

極寒『行者小屋』キャンプ

白く輝く八ヶ岳。目が離せません。この景色を見ながらのビール、最高でした。
先週、せっかくの連休ということで、選んだのは八ヶ岳は赤岳。今回は家内も一緒だったので、負担を減らしてあげようと思い、マイカーで登山口を目指した。しかも、美濃戸まで。赤岳はこれまでバスでしかアクセスしたことがなかったので、今回は初めての車。幸い目指す赤岳山荘はカーナビに載っていたので、ルートは問題なかったが、問題は美濃戸口からの悪路。我が愛車は1000ccクラスのコンパクトカーで、小回りには自信があるが、車高が低いので、ワイルドな林道はかなり苦手。時速10km/hにも満たない速度で、大きな凸凹道をそろりそろりと走ること30分間、なんとか美濃戸にある赤岳山荘の駐車場にたどり着くことができた。それにしても思い出すだけでも冷や汗が出てきそう。1時間の歩きを減らすことはできるものの、美濃戸までのマイカーでのアクセスは考えものだ。

南沢も北沢も歩き始めはいつもここからです。
美濃戸からは気を取り直して楽しい山歩き。今回は行者小屋でテン泊を計画していたので、南沢ルートを歩いた。これまで美濃戸からは北沢から上がって南沢から下りるパターンだったが、今回初めて南沢から登ってみた。この南沢、改めて歩いてみると、登山道がごつごつとした岩だらけでかなり歩きにくい。今回もザックには夕飯用の鍋セットと2人分のビール8本にパック酒5号までしっかりと背負ってきたため、総重量も20kgオーバー。自分ら、山歩きも楽しみだが、山で飲むお酒も同じくらい楽しみなのである。そんな訳で岩がごつごつの登山道は足に来る。それにしても噂には聞いていたが、この登山道、今年の秋の台風に相当やられたようで、谷の様相が変わっていた。いたるところに上流から流されてきたのであろう流木が溜まっていたり、新しい橋がたくさんできたりしていた。復旧に携わった方々のご苦労が窺われる。

沢はどこも荒れてました。この橋も今年設置したのかな?
歩き進めると山が白くなっているのが見えてきた。霧氷だ。山の景色に白が際立ち、とてもきれいで見とれてしまう。重い荷物を背負って歩いているので、寒さは感じなかったが、温度計を見ると-1度。時間は11時。山が見えたということは行者小屋はもう間近なので、疲れ始めていた足に再び力が湧いてきた。そして歩くこと3時間半、ようやく行者小屋に到着。

阿弥陀岳分岐から見上げた赤岳。もはや雪山の様相。
ベースキャンプを整え、さっそく赤岳に向かった。山から下りてきた登山者に山頂付近の状況を聞いてみると、雪はうっすらと積もっているだけなので、アイゼン無しでも大丈夫だという。文三郎尾根を進んでいくとだんだんと足元に雪が見え始めてきたが、確かに深さはなさそう。ただ、歩を進めるうちに家内の様子がおかしくなってきた。歩くペースが極端に遅くなっている。聞いてみると気分が悪くなってきたのだそうだ。呼吸が苦しくなり、それに伴い吐き気が出始めているのだという。家内は以前にも同じ症状が出たことがあった。金峰山(2599m)を歩いてた時のことだ。まさかとは思うけど、高山病?と思った。この時、歩いている地点はおよそ2500m付近。果たしてこの高度で高山病になるものだろうかと、この時思ったが、後で調べてみると、人によっては2000mくらいから症状が現れるらしい(Wiki情報)。こんなわけで、この日は登頂を断念したわけだが、山の楽しみはピークハントだけではないと気持ちを切り替えて、ビールの待つベースキャンプを目指した。

文三郎尾根の登山道。足元が滑らないように注意が必要です。
ベースキャンプに戻った自分たち、さっそく白く輝く赤岳や横岳、阿弥陀岳を眺めながらの山見酒。山のことについてあーだ、こーだと話しながら山を見てビールを飲む。そんな最高の時間をずっと過ごしていたかったけど、時間が進むにつれてだんだんと底冷えがしてきたので、続きはテントの中でということになった。この時、17時で気温は-6度。少し時間は早いけど、テントに入ってシュラフに体半分を入れて前室部分で鍋を炊いた。やはり外にいるのとは暖かさは段違いで、温度計を見ると0度くらい(それでも、そのくらい!)。持ってきた日本酒をシェラカップに入れてバーナーで熱燗にした。寒いところで飲む熱燗は格別。って、なんのレポートか分からなくなってきたが、この日は早めに就寝。この時使ったシュラフは、家内がイスカ・エア630EX(-15度リミット)で、自分はモンベル・アルパインダウンハガー#3(0度リミット)にシュラフカバーのセット。さすがに深夜から朝方にかけては薄ら寒くて熟睡はできずに何度も起きたが、こうしてブログを書いているということは生きて帰ってこれたということ。テン場には他にも10張りくらいのテントがあったが、朝方、どなたかが言っていたが、-10度を超えていたらしい。寒いはずだ。でも、思わぬ極寒キャンプを味わえることができた。

行者小屋のテン場。この後、しっかりと集金された。
2日目は、やはり登頂は目指さないこととして、その代わり北沢を経て下山することとした。キャンプ撤収直後、家内の身体の冷えがなかなか戻らなかったので、赤岳鉱泉に寄って、コーヒーをいただいてきた。午前中の赤岳鉱泉は登山客はすべて出払った後で、スタッフの方々が忙しそうに掃除をしていた。山小屋の誰もいない広々とした食堂で2人コーヒーを飲むという贅沢な時間を過ごし、身体も暖まってきたので、改めて歩き始めたが、北沢もやはり台風の影響が大きかったようだ。修復がまだ済んでいなかったようで、途中から山の中に入っていく旧道を歩くこととなったが、初めて歩くコースだったので、これはこれでなかなか良かったかな。後で見た鉱泉日誌によると、この日の午後に北沢ルートが復旧したのだそう。運がよかったのか悪かったのか...。

赤岳鉱泉のアイスキャンディ。山もようやく冷えてきたから完成は近いか?
ちなみに赤岳山荘駐車場から美濃戸口までの移動は、恐れていた車のすれ違いもなく、無事に下りてくることができた。やっぱり、次来るときは美濃戸口から歩くことにしよう。そう思った。さて、次はどの山歩こう。

【1日目:Start 8:17赤岳山荘駐車場~南沢(青線)~11:42行者小屋12:14~13:05文三郎尾根2553m地点~13:47行者小屋、2日目:不詳(garmin電源切れ...)】
1日目の行程は、距離約 6.3km、出発地点標高1673m、最高標高 2553m(文三郎尾根途中)、最低標高1673m(出発地点)、移動平均速度 約1.3km/h、総所要時間4h58m(recorded by garmin)なお、2日目の距離は約5km(赤線は予定ルート)

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2018年10月28日日曜日

栗城史多さん、改めてご冥福をお祈りいたします。

享年35歳、若くしてこの世を去った栗城さん、改めてご冥福をお祈りします。
栗城 史多(くりき のぶかず)、今年、エベレスト南西壁ルートからの単独無酸素での登頂チャレンジにおいて、途中、無線連絡が途絶え、捜索隊が遺体を発見した。5月21日のことだ。体調を崩して下山途中に滑落死したと報道されている。
心ない一部の者から「下山家」などと揶揄されるほど、彼はエベレストとは相性が良くなかったようで、単独無酸素という無謀とも言えるその登山スタイルもあってだろう、8度の挑戦の甲斐なく、結局、登頂を果たすことなく、この世を去った。
昨日、栗城さんの追悼ギャラリーに行ってきた。老若男女問わず思ったより多くの人が訪れていて、人気の高さを改めて認識した。

たくさんの方の応援を得てエベレストに挑戦したのだろうだが、本当に残念なことだ。
そんなこともあり、山での危険と死について改めて考える良いきっかけとなった。エベレストの、しかも単独無酸素といった世界トップクラスの登山と、自分のハイキング程度の登山とを当たり前のことだが比べるなんて、とてもおそれ多く、恥ずかしいことだとは承知している。まったく、世界が違うのだから。ただ、子を持つ親として、山をやる仲間を持つ友として、その死を身近なこととして置き換え考えてみると、「冒険心」というある種の欲望なのか人間の本能なのか、あるいは見栄なのか、いずれにしても冷静に考えてみると命を軽く考えがちな行動は、自分本位であって、周りの人のことをまるで考えていない。

たくさんの方が、追悼ギャラリーを訪れていた。
一度きりの人生において、それがいいか悪いかなんて議論することは考えてはいないが、ただ、大事な人がいなくなるなんてやはり単純に悲しい。だから、自分はこう思う。「そこを進む前に大事な人の顔を思い浮かべてほしい」と、岩を登る前にそんなことを考える人間なんて、たぶん誰一人としていないと思うが、でも、例えば崖から落ちる瞬間には一瞬思い浮かべるのではないか。自分は、昔、海でおぼれて危ういところを人に助けてもらった経験があって、その時、もうだめだと思った時には家族の顔が一瞬、脳裏をよぎった。自分はたまたま命を失うことはなかったが、時すでに遅しとなる前に、どうか考えてほしい。そう思う。
ただ、栗城さんの場合、そんな思いもおそらくは届かなかったのだろう。冒険家というのは、そういうものなのかもしれない。ただただ、残念です。今となってはご冥福を祈るだけです。

こんなメッセージがあった。もしかしたらあの世でも挑戦を続けているかもしれない。
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2018年10月15日月曜日

山頂異空間『日向山』(ひなたやま)

頂上の様子。樹林帯の登山道から忽然と白砂の世界が現れる。
約3ヶ月ぶりの山行。最近思うが、いつ書いても結局、書き始めはこうなる。「久しぶりの山歩き」...。歩いたのは南アルプス前衛峰とでもいうのかな、低山ではあるが山頂が花崗岩の白砂で覆われていることで有名な『日向山』(ひなたやま)1660m。
真夏の日差しもいつの間にかなくなり、残暑の厳しさも秋の長雨により気がつくと秋のそよ風に変わってきたこのごろ。暑さが苦手な我が妻もようやく重い腰を上げ、活動の季節がやってきたご様子。鈍った身体をまずはほぐすために、簡単に歩ける山にしようということで、この山を選んだ。往復6km程度で4時間もあれば歩くことができるこの山。ネックは矢立石登山口のそばにある駐車場の狭さだけだ。ウェブの情報によると10台程度のスペースしかないらしい。もし、この駐車場に停められない場合には、片道50分の歩きが追加となる尾白川渓谷駐車場に停めなければならない。目標としては矢立石駐車場に朝の6時までに到着することだが、逆算すると我が家を出発するのは深夜となってしまい、これでは現実的ではないと、考えたのが前泊。どうせ自家用車で行くのだから荷物はある程度詰めるので、登山口近隣のキャンプ場に前泊して山に挑むこととした。これであれば安心して山歩きも楽しめるし、加えて久しぶりのキャンプも楽しめることができて一石二鳥。

前祝いの様子。野外で鍋とビール、最高でした。
とはいえ、出発日の前日にこのプランを思いついたので、準備にまごつき出発したのはお昼過ぎ。まあ、この日はキャンプ場で前祝い(なんの祝いだ?)するだけの予定なので急ぐ必要はない。キャンプ場は地図で見る限り尾白川渓谷駐車場のすぐそばにあるようなので、ナビをセットして家を出た。連休中日の中央道にはそれなりの量の車が走っていて、「皆さんどこに行くんだろうね」と、呑気なことを話しながら、目的地を目指した。インターを降りてからもナビ任せで走っていると、思ったよりも早く尾白川渓谷駐車場に到着。キャンプ場はどこかと、売店のおばちゃんに聞いてみると、関係者以外通行禁止と書かれている先の車一台が通れるかどうかの細いガタガタ道を進めと言う。マジかと思いながらもおそるおそる進んでみること約300m、確かにそこにキャンプ場の受付があった。想像していたキャンプ場と違うそこは、ファミリー用と言うよりも、山専。すでに張られているテントもほとんどが山用で、受付のおじさんが言うには、適当に車を止めて好きなところに幕営していいそう。あの細い山道を冷や汗をたっぷりかいて入ってきて、この山小屋風幕営地なのだから、一般の方にはあまり人気がないのだろう。しかもすでに16時を回っている時間、そうであればと、駐車場の一番奥に車を停めて、その前にテントを張り、そのまたすぐ傍にテーブルと椅子をセットした。ちょっとしたオートキャンプだ。すぐにでも前祝いを始めようかと思ったが(だからなんの前祝いだ...)、まずは近くにあるという甲斐駒ヶ岳神社にお詣りに行かなければと足を向ける。結構な山の中にありながら、しっかりとした、しかも歴史を感じる雰囲気のある甲斐駒ヶ岳神社で、翌日の安全を祈願する。毎度のことだが、ついでに家族のことも。
あとは、初めて使うMSRのステンレスクッカーで鍋を炊き、持参したビールとワインをそれなりにいただき、頭上に広がる星空を眺めながら楽しい会話をし(たはず...)、気分良くしてこの日は早めにシュラフに潜り込んだ。

白州の森にひっそりとたたずむ厳かな雰囲気の甲斐駒ケ岳神社
翌朝は4時起床で朝からカップ麺を頬張り撤収。まだ暗い中、周りの方に極力迷惑をかけないように、そろりそろりといった感じで車をスタートさせた。矢立石までは暗いながらも標識を確認できたので迷うことなく進むことができたが、この道もハンパなく狭い。帰りのことを考えるとやや気が重くなるが、そんなことを考えても仕方ないので前を向く。車は徐行状態で進みながら、約30分で矢立石に着いた。幸いまだ5台程度しか駐車してなく、スペースに余裕はある。うっすらと明るくなってきた中、時間を見ると5時40分。

早朝6時前、まだ矢立石駐車場は車が少ない。
早速、準備を整え、久しぶりの山歩きを始める。登山道はやはり樹林帯の中にあり、最初はヘッドライトをつけながらの歩きとなったが、これといって急勾配もなく順調に高度を上げていく。まあ、考えてみるとこのコース、ハイキングコースと紹介されているくらいで、山頂まで危険地帯は特になく、安全に山歩きを楽しめる。反面、山頂まで通してほぼ展望はなく上り一辺倒なのが辛い。2時間もかかることない短いコースだからいいものの、特徴のない登山道をひたすら登ることとなるので、やや飽きはくるかな。

登山道。途中、展望もなく樹林帯は延々続く。
それでも山頂手前の森を抜けた時の感動はなかなかのもので、そこには大きく開けた異空間が待っていた。この山が人気なのはこれなんだと、すぐに納得。残念ながら展望はほとんどなかったけど、山の中に忽然と現れた白砂の世界がまるで黄泉の世界感を思わせるような、不思議な感覚に陥ってしまう。目の前にあるであろう信仰の山、甲斐駒は厚い雲に覆われ最後まで姿を見せなかったけど、そこにいることは感じるし、まるで蟻地獄かのように切れ落ちている砂の谷は深く、恐らく昔からこの場所が霊的な信仰に関わってきた場所なんだろうと想像がついた。

深く切れ落ちる砂の谷。怖くて近づけない。
しばらく山頂付近を見て回って楽しんだあと、回復しそうもない天気に諦めをつけて下山の途についたが、あの山頂の景色は山を歩く者に拘らず一見の価値はあると思う。下山時には、次から次へと登山者とすれ違い、この山の人気ぶりを感じたが、特に登山口に下りた時の駐車場の車の数には驚いた。あの狭い駐車場に15台は停まっていたと思うし、車を走らせてからの途中の路肩にもさらに15台は停まっていて、さらに続々と車が入り込んできた。家内と二人、「早い時間に来てよかったね〜」と胸をなでおろし、ようやくこの日の山を振り返った。

山は雲に覆われて展望はほぼないが、家内は元気。
久々の山歩き、運動不足もあってやや足に疲れは出たものの、その疲れまでもが楽しさに感じられた。雲の多い山頂ではあったが、そこには自らの足を使って訪れなければ見られない、その日だけの絶景があった。こんな楽しい山なのになんでいつも「久々の...」なんだろう。これからはもっと歩くぞ、そんなことを思ったこの日の山歩きであった。さて、次はどの山歩こう。

【Start 5:38矢立石登山口~7:11日向山山頂7:56~Goal 9:15矢立石登山口】
総行程は、距離約 5.5km、出発地点標高1153m、最高標高1660m(日向山山頂)、最低標高1153m(出発地点)、移動平均速度 約1.5km/h、総所要時間3h36m(recorded by garmin)

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2018年9月15日土曜日

涼を求めて『日原鍾乳洞』

幻想的なライトアップによって視覚的にもある意味涼しげ?
今年の夏はホント暑かった。ここに来てようやく涼しさが出て来たが、9月に入った当初は真夏並みの暑さが続いていた。これだけ暑いと、どこも出歩きたくなくなる。山にしてもそうだ。標高の高い場所は涼しいとしても、下りてくると灼熱地獄。まあ、それでも一瞬の夢を求めて臨むのが山の魅力なのだろうが、でも今年はちょっと違う。暑すぎるのだ。山から離れて2ヶ月半たった。この間、運動らしき運動をなに一つしていない。寝に帰るだけの平日、その疲れを理由にだらだらしている休日。身体は鈍りきっている。今週予定していた山も秋雨前線に邪魔されてしまった。でも、山を見たい、緑を見たい。そんな気持ちは、忙しい日々の中にあって、ふと頭をよぎる。
そんな思いを抱え、先日行ってきたのが、日原鍾乳洞。ここなら、我がベース基地、奥多摩のど真ん中にありながら、涼も感じることができる。これまで何度も日原を訪れながら一度も行ったことのない日原鍾乳洞、電車とバス、そして少しだけの歩きも味わえて行くことができる最高の場所を思いついたと、家内と二人、久しぶりに休日、出かけた。

この日も鍾乳洞にはたくさんの観光客が訪れていました。
日原鍾乳洞はJR奥多摩駅から東日原行きのバスで約30分、そこから歩いて約30分、岩崖の目立つ小川谷の沢脇にある。かつては山岳信仰の場として栄えたらしいそこは、東京都の天然記念物となっていて、大人は700円で入場することができ、この日も大勢の観光客で賑わっていた。普段、朝早く山歩きの際に通るこの場所にたくさんの自家用車や普段着の人がいる光景が不思議で、なんだか戸惑ってしまった。
入場券を購入し、鍾乳洞の入り口に近づくと、中からの冷風でもう涼しい。中に入ると涼しいを通り越して寒いくらい。この日の格好は猛暑用の短パンTシャツ。洞内の気温は夏冬通じて11℃らしい。暑さに弱い家内はまるで天国だとはしゃぎまくり、天国ババア振りを大いに発揮していた。中は思ったよりも広くて、各所にやれ「天井しれず」だ、それ「ガマ岩」だのと、岩の特徴に合わせて名前が付けられているのだが、どれもいまいちピンとこない。胡散臭さはあるけど、それでも、いちいち云々と言いながら、それなりに面白く見て回ることができた。しかも、時折、進路が狭くなっているところや、全体に薄暗さもあるから、探検気分も味わえて、歩くこと30分程度だろうか、久々の涼しい世界を楽しんだ。外に出ると、冷え切ってしまったのだろう、メガネの曇りがなかなか取れない。帰りはバスの時間に注意しつつも、それでも家内とおしゃべりしながら、周りの緑や山を眺め、久々に心癒される時間を過ごすことができた。自家用車で来る人は注意が必要かな。というのも駐車場が狭いので、結構並んでいたみたい。暑い夏、ここは結構なおすすめポイントです。一度足を運ばれてはどうでしょう。

鍾乳洞の周りは岩だらけ。名のある岩も幾つかあるみたい。

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2018年7月29日日曜日

《その後のマイギア》マップケース

A4用紙を入れるとこんな感じ。長歩きのときは複数枚入れている。
2013年に購入したmont-bellのマップケース、それなりにボロになったけど、いまだ重宝している。自分の場合、山を歩くときは、このマップケースに国土地理院サイトから取得した2万5千分の1地図を入れて持ち歩いている。使い始めの頃は、その持ち運びかたがどれもしっくり来なくて迷いがあったけど、いろいろと試行錯誤してしているうちに今のかたちに収まってきた。その形とは、マップケースをくるくるっと丸めてザックのウェストベルトに挟み入れる。この形だと、必要な時に簡単に地図を見ることができて、簡単にしまい込むことができる。山で地図を使っている方はよくわかることだと思うけど、この「使いやすさ」がとても大事なポイントで、地図を飾りとしてではなくて実際に使うために持ち歩くことができる。
しかも、マップケースに求めるもう一つ大事なこととしては、「丈夫だ」ということ。5年間使い続けているのにまだ現役。これで900円はお安いでしょう。

山の中ではいつもこんな感じで携帯しています。
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2018年7月12日木曜日

白亜の岩城『甲斐駒ケ岳』

駒津峰を過ぎた辺りから仰ぎ見る甲斐駒ヶ岳。威風堂々。
(1日目からの続き)
2日目は久々に早朝からの行動となった。というのも、4時前から周りがざわざわし始めて、自分もそんな雰囲気に乗せられてしまったから。結局は5時過ぎに歩き始めたのだが、それでもこの早目の行動が後々になって功を奏することになった。

2日目の朝、まだ月が見えている。皆さんお早いこと。
歩き始めは長衛小屋の前の橋を渡って、しばらくは北沢沿いを進む。連続して設置されている砂防ダムが印象的な川で、まだ頭がぼーっとしている中、せせらぎと小鳥のさえずりだけが、やけに耳に入ってくる。30分くらいで山道に入り仙水小屋の前を通過してさらに進むと、ようやく視界が開ける。目の前には斜面一杯に大きな岩がゴロゴロと転がっていて、不思議な空間を作り出している。岩塊斜面というらしいが、自然というのはなんとも不思議なものを作り出すものだと感心する。ただ、登山道は、この岩塊斜面に作られているものだから、歩きにくいし、しかも正面からの朝日によって視界が遮られるので、登山道の確認にやや苦労する。

岩塊斜面の登山道。この後日が昇ってきて視界不良に。
ただ、しばらく歩くと正面には摩利支天が見えてくる。あの迫力、「く〜!」たまらない。そして歩き始めてから1時間で仙水峠に到着。ここに来て『甲斐駒ケ岳』の岩峰も見えてきて、さらにテンションは上がってくる。さて、ここからが急登になるようなので、テンション高めのままグイっと行きたいところだが、まだまだ前半戦。後半戦に向けて余力を残さなければならない。前の日もそうだったが、今回は身軽なサブザックでの歩きなので、実のところサクサク歩けそうなのだが、やはりこの時点では余計な体力を使いたくない。だから、あえてそこは抑えて抑えて歩くようにした。やがて森林限界を迎え、展望が開けてくると、待ってました大展望。前日歩いた仙丈ケ岳が青空をバックに優雅に佇み、見下ろせば甲府盆地は雲海の底。『甲斐駒ケ岳』はどんどん近づいてきた。はやる気持ちを抑えて、ゆっくりと、それでいてペースを崩さず、まずはこの尾根のピーク駒津峰を目指した。

登りの途中、ようやく甲斐駒が姿を見せた。恐ろしさすら感じる迫力だ。
その後、意外にあっさりと駒津峰に到着。ここの展望も凄い。目指す『甲斐駒ケ岳』が目の前にズドーンと見え、振り返ると北岳が鋭角な形で負けじと胸を張り、その傍で間ノ岳も「俺も」と言わんばかりに高嶺を主張している。さらには山頂に突起の見えるあの山は地蔵岳とオベリスク。そのさらに向こう側には富士山も。なんて贅沢な展望なんだろう。この展望をずっと楽しんでいたいけど、この日の自分には目の前にそびえる甲斐駒ケ岳が待っている。しかもこれから挑むのは直登コース。どんなコースだろうと、ドキドキ、ワクワクしながら、先を急ぐこととした。

左の峰は地蔵岳。頂きにオベリスクが見える。その向こうは富士山。
ヤセ尾根を30分くらい歩くと、その分岐に到着した。のっけから目の前にものすごい大岩が立ちはだかっている。一瞬、躊躇したが、すでにヘルメットを被っている自分、行くしかないでしょうと、直登コースを進んだ。正直、この直登コース、随所にきついところがあって、改めて自分が高所恐怖症だということを思い返させてくれた。技術的にはそれほど難しくはないと思うが、登頂までの1時間弱の間に「マジか...涙」と思った場所が少なくとも3箇所はあった。

ここが直登コースと巻き道コースの分岐。
ルート目印がもう少し目立つようにあったら、まだよかったんだけど。先の見えない目の前の大岩をよじ登った先がどうなっているのか。そこからさらに登れるルートがあるのか。そんな不安を抱えての登りだった。もし、登った先が間違っていた場合、今登ったところを下りるなんて恐くて絶対無理。少なくともそんな箇所が3箇所はあった。結局、無難に登りきったけど、もう一度直登コースを登るかと聞かれたら、しばらくは遠慮してしまう。

山頂に近づくと足元のグリップが効きにくい急登。まだ油断できない。
ただ、そんな苦労を乗り越えたからこそ、その後のご褒美は格別だった。天気は快晴。ここはどこなんだと思えるような不思議な空間。例えるなら神聖な領域に足を踏み込んでしまったような感覚。花崗岩による真っ白な地面に見上げると青一色、見おろすと広がる雲海。何もかもが、光り輝いている。鳳凰三山、富士山、仙丈ケ岳、中央アルプス、北アルプス、八ヶ岳、大菩薩嶺などなど、まるでこの世の全ての存在を見下ろしているかのよう。あの富士山までも。昔の人がこの山に霊的なものを感じ、信仰の山として崇め、祀ってきた気持ちが少しだけ理解できたような気がした。この山頂は特別な場所なんだろう、そんなことをひしひしと肌で感じることができた。

山頂に佇む石の祠。神聖な空気が張り詰めています。
さらにこの日、ラッキーなことに、雷鳥を間近に見ることができた。4羽のヒナとともに3〜4mの距離にいた雷鳥の親子、なんとも可愛らしく、ずっと見ていたかったが、やがてハイマツの中に隠れてしまった。残念ながら自分のカメラではちゃんと撮ることができなかった。やっぱり一眼欲しい...。

この日も修験者らしき方が何名かいた。遠くには八ヶ岳が頭を出している。
その後、この神聖な山頂に別れを告げ、次に目指すは摩利支天。この摩利支天、信仰の山、甲斐駒ケ岳山頂のほど近い場所にある突起峰なのだが、らしいネーミングで興味を惹かれる。元々は仏教用語で、仏の守護神の一人を意味するものらしいのだが、その頂にはやはりそれにちなんだ信仰的遺物がたくさん祀ってあった。ここでもしっかりと、登山の安全祈願と、例によって家内安全も祈ってきた。神様も初対面のおじさんに突然祈られて困るかもしれないけど、そこは神様ということで、よろしくお願いします。

甲斐駒ケ岳を背後にした摩利支天。ホント守護しているかのよう。
さあ、あとは下山するだけ。下山コースは双子山経由で下りることとした。山頂から摩利支天までや、そこから六方石の途中までは砂礫地帯となっていて、花崗岩の山ならではといった感じでとても歩きにくい。再び駒津峰に戻ってきた頃には、甲斐駒ケ岳の山頂付近は雲に覆われてき始めている。おそらく、この日も午後には雲が出るパターンなのだろう。前日の仙丈ケ岳のことが頷ける。そう考えると、この日、朝早く立ったのは大正解と言える。早起きは三文の徳ということかな。

だんだんと雲が湧いてきた。このあと山頂まで真っ白に。
駒津峰から双葉山まではハイマツ帯となっていて、深いところでは背丈ほどもある。下り始めて30分もかからないうちに展望はなくなるが、この日はすでに辺りは白い雲に覆われ始めていたので、あまり関係なかった。ただ、展望を期待するのであれば、仙水峠コースの方がよいかな。双葉山山頂は、展望がほとんど効かない地味な山頂で、この山には申し訳ないが、『甲斐駒ケ岳』登山の通過点のひとつという印象。実際、山頂標識の脇には「甲斐駒ケ岳四合目」との表示も。その後、シラビソなどの静かで暗い樹林帯を歩き続け、北沢峠に出る。いつものことながら、登山口に戻ってくると、ほっとすると同時に「あ〜、終わっちゃった」といった残念感がおそってくる。この日もやはりそうだ。

下りの先は雲の中。さあ、テンション上げて頑張ろう。
北沢峠では、おそらく帰りのバス待ちであろう、たくさんの若者たちが山から下りてきたにも拘らず、元気にはしゃいでいる。そんな若者たちを横目で見て、自分はテン場までの10分間の歩きの中、この日の山歩きを一人振り返る。実に充実した山歩きだった。巨樹の茂るこの道を一人歩いていると、まるで周りの木々が「お疲れさま」と言ってくれているような気分になる。あ〜、本当に楽しい山歩きだった。

日曜日の午後の北沢峠。さすがに帰りのバス待ちで賑わっていた。
余談だけど、テン場に着いてからは残りのビールを川で冷やして、一人打ち上げ会を行い、日暮前にはシュラフに入ったんだけど、いつもと違うのは、その後、9時頃にトイレに起きた。もちろん辺りは真っ暗。そこで、ふと見上げると、そこには今まで見たこともないような満天の星空があった。ホント、手を伸ばせば届くんじゃないかと錯覚するくらい、近くに見えるきらめく星たち。あ〜、ずっとこのままでいたいなと、思わず星に願いをしてしまった。
でも、すぐに思い直す。日本にはまだまだいろんな山があるはず。そう、次はどの山歩こう。

【Start 5:14長衛小屋~5:44仙水小屋~6:16仙水峠~7:20駒津峰~8:46甲斐駒ケ岳~9:53摩利支天~10:49駒津峰~11:30二児山~12:43北沢峠~Goal 13:01長衛小屋】
総行程は、距離約 11.2km、出発地点標高1982m、最高標高2965m(甲斐駒ケ岳山頂)、最低標高1982m(出発地点)、移動平均速度 約1.4km/h、総所要時間7h46m(recorded by garmin)

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