トレッキング初心者が始めちゃったブログ

【ここだけの話】『トレッキング初心者が始めちゃったブログ』 と、タイトル設定したけど、今のところ主な活動は、「山登り」、「山歩き」、要は登山ですね。これが実に楽しい。タイトル下にも書いたけど、本当に不思議なくらいにこの世界に引き込まれていく自分が突然として顔を見せた。自分はいい年齢(トシ)なので、余り危険なことをする気はないけど、若いうちにこの世界を知っていれば、もしかしたら冒険心みたいな気持ちに灯がともってしまったかもしれない。この「山の世界」、かなりお勧めである。

2018年10月28日日曜日

栗城史多さん、改めてご冥福をお祈りいたします。

享年35歳、若くしてこの世を去った栗城さん、改めてご冥福をお祈りします。
栗城 史多(くりき のぶかず)、今年、エベレスト南西壁ルートからの単独無酸素での登頂チャレンジにおいて、途中、無線連絡が途絶え、捜索隊が遺体を発見した。5月21日のことだ。体調を崩して下山途中に滑落死したと報道されている。
心ない一部の者から「下山家」などと揶揄されるほど、彼はエベレストとは相性が良くなかったようで、単独無酸素という無謀とも言えるその登山スタイルもあってだろう、8度の挑戦の甲斐なく、結局、登頂を果たすことなく、この世を去った。
昨日、栗城さんの追悼ギャラリーに行ってきた。老若男女問わず思ったより多くの人が訪れていて、人気の高さを改めて認識した。

たくさんの方の応援を得てエベレストに挑戦したのだろうだが、本当に残念なことだ。
そんなこともあり、山での危険と死について改めて考える良いきっかけとなった。エベレストの、しかも単独無酸素といった世界トップクラスの登山と、自分のハイキング程度の登山とを当たり前のことだが比べるなんて、とてもおそれ多く、恥ずかしいことだとは承知している。まったく、世界が違うのだから。ただ、子を持つ親として、山をやる仲間を持つ友として、その死を身近なこととして置き換え考えてみると、「冒険心」というある種の欲望なのか人間の本能なのか、あるいは見栄なのか、いずれにしても冷静に考えてみると命を軽く考えがちな行動は、自分本位であって、周りの人のことをまるで考えていない。

たくさんの方が、追悼ギャラリーを訪れていた。
一度きりの人生において、それがいいか悪いかなんて議論することは考えてはいないが、ただ、大事な人がいなくなるなんてやはり単純に悲しい。だから、自分はこう思う。「そこを進む前に大事な人の顔を思い浮かべてほしい」と、岩を登る前にそんなことを考える人間なんて、たぶん誰一人としていないと思うが、でも、例えば崖から落ちる瞬間には一瞬思い浮かべるのではないか。自分は、昔、海でおぼれて危ういところを人に助けてもらった経験があって、その時、もうだめだと思った時には家族の顔が一瞬、脳裏をよぎった。自分はたまたま命を失うことはなかったが、時すでに遅しとなる前に、どうか考えてほしい。そう思う。
ただ、栗城さんの場合、そんな思いもおそらくは届かなかったのだろう。冒険家というのは、そういうものなのかもしれない。ただただ、残念です。今となってはご冥福を祈るだけです。

こんなメッセージがあった。もしかしたらあの世でも挑戦を続けているかもしれない。
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2018年10月15日月曜日

山頂異空間『日向山』(ひなたやま)

頂上の様子。樹林帯の登山道から忽然と白砂の世界が現れる。
約3ヶ月ぶりの山行。最近思うが、いつ書いても結局、書き始めはこうなる。「久しぶりの山歩き」...。歩いたのは南アルプス前衛峰とでもいうのかな、低山ではあるが山頂が花崗岩の白砂で覆われていることで有名な『日向山』(ひなたやま)1660m。
真夏の日差しもいつの間にかなくなり、残暑の厳しさも秋の長雨により気がつくと秋のそよ風に変わってきたこのごろ。暑さが苦手な我が妻もようやく重い腰を上げ、活動の季節がやってきたご様子。鈍った身体をまずはほぐすために、簡単に歩ける山にしようということで、この山を選んだ。往復6km程度で4時間もあれば歩くことができるこの山。ネックは矢立石登山口のそばにある駐車場の狭さだけだ。ウェブの情報によると10台程度のスペースしかないらしい。もし、この駐車場に停められない場合には、片道50分の歩きが追加となる尾白川渓谷駐車場に停めなければならない。目標としては矢立石駐車場に朝の6時までに到着することだが、逆算すると我が家を出発するのは深夜となってしまい、これでは現実的ではないと、考えたのが前泊。どうせ自家用車で行くのだから荷物はある程度詰めるので、登山口近隣のキャンプ場に前泊して山に挑むこととした。これであれば安心して山歩きも楽しめるし、加えて久しぶりのキャンプも楽しめることができて一石二鳥。

前祝いの様子。野外で鍋とビール、最高でした。
とはいえ、出発日の前日にこのプランを思いついたので、準備にまごつき出発したのはお昼過ぎ。まあ、この日はキャンプ場で前祝い(なんの祝いだ?)するだけの予定なので急ぐ必要はない。キャンプ場は地図で見る限り尾白川渓谷駐車場のすぐそばにあるようなので、ナビをセットして家を出た。連休中日の中央道にはそれなりの量の車が走っていて、「皆さんどこに行くんだろうね」と、呑気なことを話しながら、目的地を目指した。インターを降りてからもナビ任せで走っていると、思ったよりも早く尾白川渓谷駐車場に到着。キャンプ場はどこかと、売店のおばちゃんに聞いてみると、関係者以外通行禁止と書かれている先の車一台が通れるかどうかの細いガタガタ道を進めと言う。マジかと思いながらもおそるおそる進んでみること約300m、確かにそこにキャンプ場の受付があった。想像していたキャンプ場と違うそこは、ファミリー用と言うよりも、山専。すでに張られているテントもほとんどが山用で、受付のおじさんが言うには、適当に車を止めて好きなところに幕営していいそう。あの細い山道を冷や汗をたっぷりかいて入ってきて、この山小屋風幕営地なのだから、一般の方にはあまり人気がないのだろう。しかもすでに16時を回っている時間、そうであればと、駐車場の一番奥に車を停めて、その前にテントを張り、そのまたすぐ傍にテーブルと椅子をセットした。ちょっとしたオートキャンプだ。すぐにでも前祝いを始めようかと思ったが(だからなんの前祝いだ...)、まずは近くにあるという甲斐駒ヶ岳神社にお詣りに行かなければと足を向ける。結構な山の中にありながら、しっかりとした、しかも歴史を感じる雰囲気のある甲斐駒ヶ岳神社で、翌日の安全を祈願する。毎度のことだが、ついでに家族のことも。
あとは、初めて使うMSRのステンレスクッカーで鍋を炊き、持参したビールとワインをそれなりにいただき、頭上に広がる星空を眺めながら楽しい会話をし(たはず...)、気分良くしてこの日は早めにシュラフに潜り込んだ。

白州の森にひっそりとたたずむ厳かな雰囲気の甲斐駒ケ岳神社
翌朝は4時起床で朝からカップ麺を頬張り撤収。まだ暗い中、周りの方に極力迷惑をかけないように、そろりそろりといった感じで車をスタートさせた。矢立石までは暗いながらも標識を確認できたので迷うことなく進むことができたが、この道もハンパなく狭い。帰りのことを考えるとやや気が重くなるが、そんなことを考えても仕方ないので前を向く。車は徐行状態で進みながら、約30分で矢立石に着いた。幸いまだ5台程度しか駐車してなく、スペースに余裕はある。うっすらと明るくなってきた中、時間を見ると5時40分。

早朝6時前、まだ矢立石駐車場は車が少ない。
早速、準備を整え、久しぶりの山歩きを始める。登山道はやはり樹林帯の中にあり、最初はヘッドライトをつけながらの歩きとなったが、これといって急勾配もなく順調に高度を上げていく。まあ、考えてみるとこのコース、ハイキングコースと紹介されているくらいで、山頂まで危険地帯は特になく、安全に山歩きを楽しめる。反面、山頂まで通してほぼ展望はなく上り一辺倒なのが辛い。2時間もかかることない短いコースだからいいものの、特徴のない登山道をひたすら登ることとなるので、やや飽きはくるかな。

登山道。途中、展望もなく樹林帯は延々続く。
それでも山頂手前の森を抜けた時の感動はなかなかのもので、そこには大きく開けた異空間が待っていた。この山が人気なのはこれなんだと、すぐに納得。残念ながら展望はほとんどなかったけど、山の中に忽然と現れた白砂の世界がまるで黄泉の世界感を思わせるような、不思議な感覚に陥ってしまう。目の前にあるであろう信仰の山、甲斐駒は厚い雲に覆われ最後まで姿を見せなかったけど、そこにいることは感じるし、まるで蟻地獄かのように切れ落ちている砂の谷は深く、恐らく昔からこの場所が霊的な信仰に関わってきた場所なんだろうと想像がついた。

深く切れ落ちる砂の谷。怖くて近づけない。
しばらく山頂付近を見て回って楽しんだあと、回復しそうもない天気に諦めをつけて下山の途についたが、あの山頂の景色は山を歩く者に拘らず一見の価値はあると思う。下山時には、次から次へと登山者とすれ違い、この山の人気ぶりを感じたが、特に登山口に下りた時の駐車場の車の数には驚いた。あの狭い駐車場に15台は停まっていたと思うし、車を走らせてからの途中の路肩にもさらに15台は停まっていて、さらに続々と車が入り込んできた。家内と二人、「早い時間に来てよかったね〜」と胸をなでおろし、ようやくこの日の山を振り返った。

山は雲に覆われて展望はほぼないが、家内は元気。
久々の山歩き、運動不足もあってやや足に疲れは出たものの、その疲れまでもが楽しさに感じられた。雲の多い山頂ではあったが、そこには自らの足を使って訪れなければ見られない、その日だけの絶景があった。こんな楽しい山なのになんでいつも「久々の...」なんだろう。これからはもっと歩くぞ、そんなことを思ったこの日の山歩きであった。さて、次はどの山歩こう。

【Start 5:38矢立石登山口~7:11日向山山頂7:56~Goal 9:15矢立石登山口】
総行程は、距離約 5.5km、出発地点標高1153m、最高標高1660m(日向山山頂)、最低標高1153m(出発地点)、移動平均速度 約1.5km/h、総所要時間3h36m(recorded by garmin)

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