トレッキング初心者が始めちゃったブログ

【ここだけの話】『トレッキング初心者が始めちゃったブログ』 と、タイトル設定したけど、今のところ主な活動は、「山登り」、「山歩き」、要は登山ですね。これが実に楽しい。タイトル下にも書いたけど、本当に不思議なくらいにこの世界に引き込まれていく自分が突然として顔を見せた。自分はいい年齢(トシ)なので、余り危険なことをする気はないけど、若いうちにこの世界を知っていれば、もしかしたら冒険心みたいな気持ちに灯がともってしまったかもしれない。この「山の世界」、かなりお勧めである。

2023年8月26日土曜日

夢と散った夏山登山

この一年、着々と計画を練ってきて、体力強化とか、コース選定とか(ちなみに夏山フェスにも行って山小屋の人にも相談した)、高速バスの予約とか、山小屋の予約も解禁日の朝イチに取ったし、下山後の温泉宿も取っておいた。直前にはトレーニングのしすぎで、珍しく膝も痛めたから、サポーターも買ったし、整形外科で山行中にも服用できそうな痛み止めまでもらってきた。

なのに、あの台風7号、なぜこのタイミングであのコースでやってきた(怒)。ギリギリまでいろんな天気予報サイトと睨めっこしたが、無駄だった。何もかも無駄になってしまった。断念することを決めた時は、全てが終わったと、放心状態になりながら、各種、キャンセルの手続きを進めたようだが、今となっては、その時の記憶が定かでない。

今もまだ、これから何を目標にして生活していけばよいのか、考えられないし、まだ考えたくもない。

ちなみに自分が歩こうと思っていた山域は、こちらなんです。山歩きは、半ば天候との戦いのようなものであることは分かっているが、それにしてもそりゃないよ、お天道様。そして、さよなら雲ノ平(涙)。


時間 27:24  距離 53.7 km  登り 3,808 m  下り 3,797 m(4泊5日テン泊山行)

2023年8月22日火曜日

真夏の低山山行『三方山』(養老山地)

この一年、目標としてきた夏山山行、その最後のトレーニングとして、暑さを押してまで臨んだこの日の山行。歩いてきたのは、養老の滝で有名?な『養老山地』。計画段階ではもっと歩こうと思っていたのですが、ピーク数も距離数もそれほどのものにならなかったんです。その理由は暑さ以外にもありました(冷汗)。

この日も予報では最高気温が36℃まで上昇すると、前の日の夜から何度テレビで見てもネットで見ても変わらない情報に、むしろ闘志までみなぎってきた朝4時過ぎ。前日から夏用のハイドレーションをキンキンに凍らせたり、いつもは使わないポカリスエットを飲み水として準備するなどして、熱中症予防はやれるだけのことはやった。総重量11kgで、うち水分は4.5kg。全部飲み切れば、帰りは身軽になるはずと、前向きに考え、5時過ぎ、いつもの始発電車に乗り込んだ。

その後いくつか電車を乗り継ぎ、養老鉄道の養老駅に着いたのは7時半で、暑さがぐんぐんと込み上げてくる中、1人登山口を目指した。養老駅からは、真っ直ぐ山の方向に向かって歩けばよくて、30分で養老の滝に着く。当地では比較的人気スポットなのか、すでに数人の観光客が天然ミストを浴びていて、それぞれスマホで自撮りしている。確かにこの時期、滝の前は涼しげで、いや涼しくて、ずっとここにいたい気分にもさせられる場所だ。ただ、山モードに入っている自分は、そんな軽い誘惑をサッとふり払い、すぐさま灼熱地獄の中に身を投じた。

予定ルートどおり歩を進めると、すぐになかなかの急登が現れ、焦らずゆっくりと高度を上げていく。周りに登山者の気配はない。そりゃ、こんな暑い日に好き好んでこんな低山を歩く人はいないだろうと思っていると、急に熊の存在が気になりだして、クマ鈴を持ってこなかったことに後悔しながらも、1人大声を張り上げて、歌を歌った。時々こうして山の中で歌を歌うことがある自分、久々の歌に歌詞がなかなか出てこない。

そんなことをしばらく続けていると、突然、近くで虫の羽音が聞こえた。明らかに自分の周りを飛んでいる。ハチだろうかアブだろうか。夏の樹林帯なので虫が出るのは当たり前と最初は軽く受け流していたが、これが後悔の始まりだった。この時9時前。この日の計画ではまだ8分の1辺りのことだ。

それ以降、徐々に高度を上げていくも、この山域は樹林帯から抜け出ることなく、蒸し蒸しとした登山道を、すでにTシャツを絞ったら汗が滴り落ちる状態になりながら歩いていく。すると、またもやブーンと羽音が近づいてきた。今度は、明らかに自分の周りをぐるぐると回っている。どうやら、アブのようだ。自分、虫の中でアブが最も苦手で、今度はすかさず準備してきた高濃度ディートの虫除けスプレーを手に持ち、歩きながら自分の体全体に吹きかけた。しかし、数匹のアブはなおも旋回を続け、徐々に間合いを詰めてくる。こちらも、虫除けスプレーを自分の身体に吹きかけるのではなく、直接アブを狙って吹きかけるが、一瞬聞こえなくなる羽音もしばらくするとまた同じように自分の周りを回り始める。こんなことが続くといいかげん自分も嫌になってくるが、ここは山の中、逃げようにも逃げる場所がない。狂ったようにスプレーを振りかけ、足早でその場から離れるように、時には坂を登り、時には階段を下り、とにかくこんなことが1時間ほど続いた。

この間、休憩も取れないし、水も飲めない。写真を撮る余裕すらも全くなく(掲載の写真は歩き始めと、歩き締めのものなんです...)、とにかくスプレーを振りかけ、逃げた。自分でもこの状態が一体いつまで続くのだろうと、しかし体力の持つ限り逃げるしかなく、とにかく逃げた。おかげで、この日予定していた『養老山』の山頂は諦めて、最短ルートで登山口を目指すこととした。

逃げ始めてから、1時間ほど経っただろうか、追いかけてくるアブもやや落ち着いてきたよう、要は襲いかかってくる間隔が長くなってきたようで、しかもややしばらくすると登山道から広い林道へ出て、気持ち的にも楽になってきた。ようやく、手に持ち続けていたスプレーをポケットに納め、ハイドレーションで水をごくごく飲んだ。これが、アブとの戦いの終焉だった。林道を歩いていても時折り偶然目の前を飛ぶ虫に過剰に反応したりしたけど、しつこく追い回してくるヤツはもう現れず、恐怖の時間が済んだ実感がジワジワと湧いてきた。って、真剣に自分何の話をしているんだ。まるで熊が出たかのようなシリアスな一場面。たかが、虫でしょう。とは言いうかもしれませんが、ホント怖かったんです。

このあと、歩き始めに通った養老の滝に寄って、観光客がさらに増えていることにも安心し、養老駅前に向かった。足がガクガクだったし、なによりお腹が空いていた。この山行中、一度も腰を下ろすことはなかったし、行動食を取り出す余裕もなかった。途中、口にしたのは水と塩飴2個。気温が高まってきたことにも気付かず無我夢中でいたが、ようやく11時、養老駅に着いた自分は駅前のベンチに倒れ込むように座った。しばらく放心状態となりつつも、用意していたサンドイッチを頬ばり、ぬるくなったカフェオレをごくごく飲んだ。

いや、しかし本当に疲れたこの日の真夏の低山山行。暑さに加え、まさかの激走山行になるとは。まあ、ただひとつだけ言えること。それはトレーニングとしては最高の山行になったということだ。アブさんありがとう(涙)。

さて、次はどの山歩こう。


▽ ヤマレコ情報(山行記録にリンク)

GPS 03:40 距離 11.9 km 登り 885 m 下り 875 m