トレッキング初心者が始めちゃったブログ

【ここだけの話】『トレッキング初心者が始めちゃったブログ』 と、タイトル設定したけど、今のところ主な活動は、「山登り」、「山歩き」、要は登山ですね。これが実に楽しい。タイトル下にも書いたけど、本当に不思議なくらいにこの世界に引き込まれていく自分が突然として顔を見せた。自分はいい年齢(トシ)なので、余り危険なことをする気はないけど、若いうちにこの世界を知っていれば、もしかしたら冒険心みたいな気持ちに灯がともってしまったかもしれない。この「山の世界」、かなりお勧めである。

2018年7月12日木曜日

白亜の岩城『甲斐駒ケ岳』

駒津峰を過ぎた辺りから仰ぎ見る甲斐駒ヶ岳。威風堂々。
(1日目からの続き)
2日目は久々に早朝からの行動となった。というのも、4時前から周りがざわざわし始めて、自分もそんな雰囲気に乗せられてしまったから。結局は5時過ぎに歩き始めたのだが、それでもこの早目の行動が後々になって功を奏することになった。

2日目の朝、まだ月が見えている。皆さんお早いこと。
歩き始めは長衛小屋の前の橋を渡って、しばらくは北沢沿いを進む。連続して設置されている砂防ダムが印象的な川で、まだ頭がぼーっとしている中、せせらぎと小鳥のさえずりだけが、やけに耳に入ってくる。30分くらいで山道に入り仙水小屋の前を通過してさらに進むと、ようやく視界が開ける。目の前には斜面一杯に大きな岩がゴロゴロと転がっていて、不思議な空間を作り出している。岩塊斜面というらしいが、自然というのはなんとも不思議なものを作り出すものだと感心する。ただ、登山道は、この岩塊斜面に作られているものだから、歩きにくいし、しかも正面からの朝日によって視界が遮られるので、登山道の確認にやや苦労する。

岩塊斜面の登山道。この後日が昇ってきて視界不良に。
ただ、しばらく歩くと正面には摩利支天が見えてくる。あの迫力、「く〜!」たまらない。そして歩き始めてから1時間で仙水峠に到着。ここに来て『甲斐駒ケ岳』の岩峰も見えてきて、さらにテンションは上がってくる。さて、ここからが急登になるようなので、テンション高めのままグイっと行きたいところだが、まだまだ前半戦。後半戦に向けて余力を残さなければならない。前の日もそうだったが、今回は身軽なサブザックでの歩きなので、実のところサクサク歩けそうなのだが、やはりこの時点では余計な体力を使いたくない。だから、あえてそこは抑えて抑えて歩くようにした。やがて森林限界を迎え、展望が開けてくると、待ってました大展望。前日歩いた仙丈ケ岳が青空をバックに優雅に佇み、見下ろせば甲府盆地は雲海の底。『甲斐駒ケ岳』はどんどん近づいてきた。はやる気持ちを抑えて、ゆっくりと、それでいてペースを崩さず、まずはこの尾根のピーク駒津峰を目指した。

登りの途中、ようやく甲斐駒が姿を見せた。恐ろしさすら感じる迫力だ。
その後、意外にあっさりと駒津峰に到着。ここの展望も凄い。目指す『甲斐駒ケ岳』が目の前にズドーンと見え、振り返ると北岳が鋭角な形で負けじと胸を張り、その傍で間ノ岳も「俺も」と言わんばかりに高嶺を主張している。さらには山頂に突起の見えるあの山は地蔵岳とオベリスク。そのさらに向こう側には富士山も。なんて贅沢な展望なんだろう。この展望をずっと楽しんでいたいけど、この日の自分には目の前にそびえる甲斐駒ケ岳が待っている。しかもこれから挑むのは直登コース。どんなコースだろうと、ドキドキ、ワクワクしながら、先を急ぐこととした。

左の峰は地蔵岳。頂きにオベリスクが見える。その向こうは富士山。
ヤセ尾根を30分くらい歩くと、その分岐に到着した。のっけから目の前にものすごい大岩が立ちはだかっている。一瞬、躊躇したが、すでにヘルメットを被っている自分、行くしかないでしょうと、直登コースを進んだ。正直、この直登コース、随所にきついところがあって、改めて自分が高所恐怖症だということを思い返させてくれた。技術的にはそれほど難しくはないと思うが、登頂までの1時間弱の間に「マジか...涙」と思った場所が少なくとも3箇所はあった。

ここが直登コースと巻き道コースの分岐。
ルート目印がもう少し目立つようにあったら、まだよかったんだけど。先の見えない目の前の大岩をよじ登った先がどうなっているのか。そこからさらに登れるルートがあるのか。そんな不安を抱えての登りだった。もし、登った先が間違っていた場合、今登ったところを下りるなんて恐くて絶対無理。少なくともそんな箇所が3箇所はあった。結局、無難に登りきったけど、もう一度直登コースを登るかと聞かれたら、しばらくは遠慮してしまう。

山頂に近づくと足元のグリップが効きにくい急登。まだ油断できない。
ただ、そんな苦労を乗り越えたからこそ、その後のご褒美は格別だった。天気は快晴。ここはどこなんだと思えるような不思議な空間。例えるなら神聖な領域に足を踏み込んでしまったような感覚。花崗岩による真っ白な地面に見上げると青一色、見おろすと広がる雲海。何もかもが、光り輝いている。鳳凰三山、富士山、仙丈ケ岳、中央アルプス、北アルプス、八ヶ岳、大菩薩嶺などなど、まるでこの世の全ての存在を見下ろしているかのよう。あの富士山までも。昔の人がこの山に霊的なものを感じ、信仰の山として崇め、祀ってきた気持ちが少しだけ理解できたような気がした。この山頂は特別な場所なんだろう、そんなことをひしひしと肌で感じることができた。

山頂に佇む石の祠。神聖な空気が張り詰めています。
さらにこの日、ラッキーなことに、雷鳥を間近に見ることができた。4羽のヒナとともに3〜4mの距離にいた雷鳥の親子、なんとも可愛らしく、ずっと見ていたかったが、やがてハイマツの中に隠れてしまった。残念ながら自分のカメラではちゃんと撮ることができなかった。やっぱり一眼欲しい...。

この日も修験者らしき方が何名かいた。遠くには八ヶ岳が頭を出している。
その後、この神聖な山頂に別れを告げ、次に目指すは摩利支天。この摩利支天、信仰の山、甲斐駒ケ岳山頂のほど近い場所にある突起峰なのだが、らしいネーミングで興味を惹かれる。元々は仏教用語で、仏の守護神の一人を意味するものらしいのだが、その頂にはやはりそれにちなんだ信仰的遺物がたくさん祀ってあった。ここでもしっかりと、登山の安全祈願と、例によって家内安全も祈ってきた。神様も初対面のおじさんに突然祈られて困るかもしれないけど、そこは神様ということで、よろしくお願いします。

甲斐駒ケ岳を背後にした摩利支天。ホント守護しているかのよう。
さあ、あとは下山するだけ。下山コースは双子山経由で下りることとした。山頂から摩利支天までや、そこから六方石の途中までは砂礫地帯となっていて、花崗岩の山ならではといった感じでとても歩きにくい。再び駒津峰に戻ってきた頃には、甲斐駒ケ岳の山頂付近は雲に覆われてき始めている。おそらく、この日も午後には雲が出るパターンなのだろう。前日の仙丈ケ岳のことが頷ける。そう考えると、この日、朝早く立ったのは大正解と言える。早起きは三文の徳ということかな。

だんだんと雲が湧いてきた。このあと山頂まで真っ白に。
駒津峰から双葉山まではハイマツ帯となっていて、深いところでは背丈ほどもある。下り始めて30分もかからないうちに展望はなくなるが、この日はすでに辺りは白い雲に覆われ始めていたので、あまり関係なかった。ただ、展望を期待するのであれば、仙水峠コースの方がよいかな。双葉山山頂は、展望がほとんど効かない地味な山頂で、この山には申し訳ないが、『甲斐駒ケ岳』登山の通過点のひとつという印象。実際、山頂標識の脇には「甲斐駒ケ岳四合目」との表示も。その後、シラビソなどの静かで暗い樹林帯を歩き続け、北沢峠に出る。いつものことながら、登山口に戻ってくると、ほっとすると同時に「あ〜、終わっちゃった」といった残念感がおそってくる。この日もやはりそうだ。

下りの先は雲の中。さあ、テンション上げて頑張ろう。
北沢峠では、おそらく帰りのバス待ちであろう、たくさんの若者たちが山から下りてきたにも拘らず、元気にはしゃいでいる。そんな若者たちを横目で見て、自分はテン場までの10分間の歩きの中、この日の山歩きを一人振り返る。実に充実した山歩きだった。巨樹の茂るこの道を一人歩いていると、まるで周りの木々が「お疲れさま」と言ってくれているような気分になる。あ〜、本当に楽しい山歩きだった。

日曜日の午後の北沢峠。さすがに帰りのバス待ちで賑わっていた。
余談だけど、テン場に着いてからは残りのビールを川で冷やして、一人打ち上げ会を行い、日暮前にはシュラフに入ったんだけど、いつもと違うのは、その後、9時頃にトイレに起きた。もちろん辺りは真っ暗。そこで、ふと見上げると、そこには今まで見たこともないような満天の星空があった。ホント、手を伸ばせば届くんじゃないかと錯覚するくらい、近くに見えるきらめく星たち。あ〜、ずっとこのままでいたいなと、思わず星に願いをしてしまった。
でも、すぐに思い直す。日本にはまだまだいろんな山があるはず。そう、次はどの山歩こう。

【Start 5:14長衛小屋~5:44仙水小屋~6:16仙水峠~7:20駒津峰~8:46甲斐駒ケ岳~9:53摩利支天~10:49駒津峰~11:30二児山~12:43北沢峠~Goal 13:01長衛小屋】
総行程は、距離約 11.2km、出発地点標高1982m、最高標高2965m(甲斐駒ケ岳山頂)、最低標高1982m(出発地点)、移動平均速度 約1.4km/h、総所要時間7h46m(recorded by garmin)

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2018年7月8日日曜日

南アルプスの女王でした『仙丈ケ岳』

小仙丈ケ岳を過ぎたところで女王様を仰ぎ見る。小仙丈カールが美しい。
先月に続きまた仕事をサボって山に行ってきた。世間の皆さんが仕事をしている中、自分だけが、こっそりと山歩きを楽しむ。このとき感じる罪悪感というか後ろめたさが、どうも癖になってきたみたいだ。こんな自分もいたんだと、改めて自分の駄目さ加減に興味が湧いてきた。(おいっ、少しは反省しろ自分!)
今回の山は南アルプスは『仙丈ケ岳』と『甲斐駒ケ岳』。欲張って深田百名山を二座まとめて歩いてきた。この二つの山、一つのベースキャンプでどちらも歩くことができるから、以前から狙っていたプランではあったのだけど、今回、そのチャンスを無理やりこじ開けたというわけ。

長衛小屋では、この日、長衛祭なるものを行っていた。山開き?
ということで、目指したのは南アルプス北部の登山拠点の北沢峠。ここは山梨県南アルプス市と長野県伊那市の県境にある。アクセスはJR甲府駅からで、バスを二本乗り継いで山の奥の奥へ揺られること2時間半。テン場のある長衛小屋に着いたのは午前10時前。さすがに涼しい。まったりとしたい気持ちを抑え、早速準備に取り掛かる。歩ける時間は日暮れまでとして約8時間、そうはいっても早く戻ってくる分に越したことはない。この日はそんな時間的制約がある中、歩きが始まった。

北沢峠の登山口。さあ、いよいよだ。ワクワクの瞬間。
まず歩いたのは『仙丈ケ岳』。この山、「南アルプスの女王」との異名を持っていて、山容が優雅で気品高き雰囲気を持っている。登山道もその雰囲気どおり急登や危険箇所はほとんどなく、比較的、安全に登ることができる。もちろん、そうはいっても標高3033mと国内屈指の高山なので、登るとなるとそれなりの大変さは伴う。自分も3000m峰は初めてだったので、歩き始めからワクワク、ドキドキといった感じ。何と言っても3000m峰ですからね(しつこい?)。

歩き始めはやはり樹林帯。この時間帯に歩き始める人は少ないみたい。
歩き始めはどの山も同じく樹林帯。この山の樹林帯は基本、シラビソなんだけど、杉やその他の広葉樹も少し混じっている。奥多摩とは違って、ちゃんと整備はされていないようだが、まさか原生林ってことはないだろう(いや、そうなのか?)。一人、静かな樹林帯を歩くこと1時間半、ようやく森林限界が訪れ、視界が広がってくる。とはいっても、この日は残念ながら曇りがちの空模様。正面の小仙丈ヶ岳(だろうか)はしっかりと見えているけど、後ろの甲斐駒ケ岳は、ほとんどが雲に隠れていて、時折、ちょこっとだけ顔を出すくらい。

振り返ると、それまで雲に隠れていた甲斐駒ケ岳が不気味に山頂付近を見せた。
先を急ぐ自分は、ぐんぐん歩を進めるが、ここの登山道は、いわゆる急登と呼ばれる箇所がほとんどない。だから進んだ分の高度感があまり感じられないが、それでも途中で見えたテン場がかなり下方に確認できたので、そのとき初めて「へ〜」といった感動を覚えた。

正面に見える小仙丈ケ岳。天気は持ってくれるだろうか。
小仙丈ヶ岳を過ぎると、ようやく恥ずかしがり屋の女王様が顔を見せる。稜線を大きく広げ、足元に小仙丈カールをまとったその姿は、まさしく「南アルプスの女王」と呼ばれるにふさわしい気品を感じる。「ああ、美しい」というのが、正直な第一印象。しかも気づくと、登山道沿いには、色々なお花が咲いているではないか。あまり詳しくはないが、知っているだけでも、コイワカガミ、ミヤマキンバイ、イワウメ、ハクサンチドリ、ハクサンイチゲ、オヤマノエンドウ、そのほかにも色んな高山植物が咲き乱れていた。今回、写真でしか見たことのないようなお花畑に出会えたことも大収穫だった。

登山道脇に咲くミヤマキンバイ。先には『仙丈ケ岳』山頂が。
これはハクサンイチゲでしょうか。初めて見ました。
やはり残念だったのは、天気。「もしかして」を期待して、その後、難なく山頂まで辿り着き、しばらくそこでも待機したが、結局は雲は晴れてくれず、大展望は空振りに終わった。それでも、足下のカール地形やお花畑、何よりも仙丈ケ岳の雄大な姿をしっかりと目に焼き付けることができたし、自分にとっては初の3000m峰を歩くことができたので、この日の山歩きは、十分に満足できた。

藪沢カールの底に仙丈小屋が見える。
忘れてならないのは、この日は時間を気にしなければならない山歩き。下りもしっかりとそのことを意識して、やや早歩きで先を急いだ。途中、バテてきて、足元がフラフラしてきたけど、そこは山歩きに多少慣れてきた自分、急ぎながらも、必要な時には小休止を取り、無理せず無事に下りてくることができた。テン場に着いて、まず清水で顔を洗い(気持ちよかった〜)、予め冷やしておいたビールをグビッと飲み(最高に美味かった〜)、テント前でいつものグダグダ休憩(まじ、落ち着く〜)。この日も日暮れを待たずに寝入ってしまった自分。なんて気ままなオジさんなんだろう。でも、ささやかな幸せを感じます。ママ(実はこう呼んでる)ありがとう。さあ、翌日はいよいよ念願の甲斐駒ケ岳、ビールを飲みながらグダグダしていたときも、実は自分的には密かにテンションを上げていました。あ〜、それにしても涼しい夜だった。それに比べ、下界はあぢぃ。
(2日目に続く)

夕方6時ころ、テン場にも雲が下りてきた。「さあ、寝よう」の画。
【Start 10:15長衛小屋~10:25北沢峠登山口~11:55六合目森林限界~12:14小仙丈ケ岳~13:34仙丈ケ岳~14:17小仙丈ケ岳~14:47六合目森林限界~15:55北沢峠登山口~Goal 16:06長衛小屋】
総行程は、距離約 12.0km、出発地点標高1982m、最高標高3033m(仙丈ケ岳山頂)、最低標高1982m(出発地点)、移動平均速度 約1.8km/h、総所要時間5h51m(recorded by garmin)

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2018年6月24日日曜日

山歩き8年、奥多摩軌跡

先日、雲取山を歩いていてふと思った。「奥多摩、ずいぶん歩いたなあ」と。自分が山歩きを始めたのは2011年。初めての単身赴任を終えて、家内と共通の趣味を持って、離れ離れだった期間を少しでも取り戻そうと思ったのがきっかけだと記憶している。その時に初めて歩いたのが奥多摩は鳩ノ巣渓谷。その時の感動が忘れられなくて、その後も奥多摩に足しげく通った。都内に近いこともあって(というか奥多摩はほぼ東京都だから)、家内とだけではなくて、一人でもとにかく歩いた。
やがて、奥多摩以外の山域にも足が向き、いつしかアルプスだの八ヶ岳だのと人気の山を歩くようになった今でも、地元の裏山散歩でもするかのように奥多摩を歩いている。さすがにこれからの季節は、暑かったり虫が多かったりでなかなか奥多摩は歩かなくなるだろうけど、それでもがっつりと歩きたいときは奥多摩を歩くんだと思う。歩きなれた山域だけあって、とにかく安心感はある。だから、これからも奥多摩は自分にとっては大切な場所、きっと年を取って歩けなくなるまで、ずっと、ずう~っと、歩くんだと思う。
今回、自分が山歩きの記録を取っているカシミールの奥多摩軌跡を改めて振り返ってみた。いや~、さすがに結構歩いたなって感じですね。

主要な登山道はほぼ歩いたかな。それにしてもよく歩いたものだ。

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2018年6月17日日曜日

ひとり奥多摩歩き『二軒小屋尾根』

「長沢谷のカツラ」、威風堂々と佇んでいました。
最近、仕事が忙しかったこともあり、人と距離を置きたかったのだと、改めて振り返るとそう思う。先日、自分としては珍しく休みを取って山に入った。計画していたのは北アルプスだったけど、天気の都合もあり結局はいつもの雲取山を歩いてきた。
ただ、当初計画を断念した悔しさもあり、どうせ歩くならと、登りは『二軒小屋尾根』を歩くこととした。この尾根は、山と高原地図には登山道として掲載されていないが、奥多摩を歩く者としては巨樹で有名なコースとして密かな人気を誇るコースではあった。自分も何年か前に山で出会った方に教えてもらい、いつかは歩いてみようと、やはり密かに企んでいた。

久々の東日原バス停。この日、バスを降りたのは自分含め5人。
家を出発したのは日曜日の早朝、まだ太陽が顔を出す前。始発電車に乗り込み、奥多摩駅からは久々の日原行きのバスに揺られ、東日原のバス停から歩き始めたのは午前7時を回っていた。初めから覚悟はしていたけど、林道を歩くこと延々3時間、ようやく登山口に辿り着く。

日原から林道を3時間歩き続けようやく登山口が見えてきた。
この登山口は大ダワ林道にも通じているが、現在、大ダワ林道は途中崩落のため通行止めとなっているはず。まずは谷下の沢まで降りるトラバース道。踏み跡の少ない狭い登山道を慎重に降りて沢の前まで来ると、ないと思っていた橋がしっかりと架かっていた。真新しい容姿からすると、最近できたらしい。当然にして難なく川を渡り、対岸に着いてからは登山道探し。川に沿って上流方向に進むとすぐにピンクテープが見え、尾根に向かって踏み跡が見えた。登山道だ。しかもそこには樹齢数百年にも及ぶだろうあの「長沢谷のカツラ」がデーンと構えていた。雰囲気からして山に入る際にはこの古木に挨拶するのだろうと察した自分は、丁寧に山に入ることの許しを乞うとともに、行く先の安全を祈願した。

立派な橋ができていました。この分だと大ダワ林道も修復するのか?
その後、延々と尾根歩きが続くが、比較的緩やかで広めの尾根は見通しがよく、歩いていて実に気持ちがいい。もちろん、噂どおり巨樹だらけの森だ。ただ、この日、この山域に入っているのはおそらく自分だけだろうから、野生動物との遭遇には常にびくびくしていた。久々にしっかりと鈴を鳴らして歩くも、この季節、山の中はヒメハルゼミの大合唱が響き渡り、自分の鈴などなんの役にも立ちそうにない。出るなら出てみろツキノワグマってことか。

広々とした尾根。登山道は常に尾根の中央にあるので迷いはない。
梅雨の合間のこの日は気温も上がっているようで、汗の量もハンパない。そろそろ奥多摩歩きも一時中断かなと思いながらも、この汗は欲張って担いできたビールも影響しているのだと思う。一泊の予定なのに6缶もだ。ここまで来ると自分でもバカと言うしかない。
さて、この『二軒小屋尾根』はピークの芋の木ドッケを目指して途中、2〜3ある小ピークを経て徐々に高度を上げて行き、最後の登りでこれでもかってくらい一気に急登を直登していく。

芋ノ木ドッケ頂上まであと少し。最後の急登が結構キツイ。
一気にとは言ったが、実際にはさすがに休み休み登っていくわけだが、この時期はハエに似た羽虫がわんさかいて、休むたびに自分の周りを何十?何百?もの虫がうようよと飛び回るものだから、落ち着いて休んでもいられない。刺すわけではないので、なんてことないと言えばそうなのかもしれないけど、とにかく数が多いものだから気持ちのいいものではない。そんなことで、途中休憩もままならず、やはり一気に近い形で芋の木ドッケにたどり着いた時は、さすがに倒れこんだ。日曜日でおそらく登山者もほぼ通らないであろう奥多摩最深部の登山道の真ん中でザックを降ろし、しばらく休憩するとともに遅めの昼食をとった。

芋ノ木ドッケから振り返ってみる。トラロープの先の尾根を登ってきたのだ。
落ち着きを取り戻した後は、雲取山方面に向けて歩き出す。せっかく登った芋の木ドッケを一気に下りる。巻き道はなかったのかと、ぶつぶつ呟きながら、大ダワにほど近い登山道を歩いていると若い二頭のニホンジカを見かけた。写真を取っていると、その鹿たちがこちらを直視しながら徐々に近づいて来る。まさかと思いつつも、そのまま見ていると、5〜6m付近まで来て、さらに近づいて来る気配だったので、さすがに気持ちが悪くなって、その場から離れた。その後も鹿たちは自分の後ろを10分以上も付いてきたけど、さすがに大ダワからの男坂を登っていくと付いてこなくなった。それにしてもなんだったのだろう。今度、行くときは鹿せんべいでも持って行こうか(笑)。

後をつけてくる2頭の若シカ。好奇心すご過ぎ!
その後、雲取山荘に到着した自分、休憩をとりながら、奥多摩小屋まで行こうか迷っていた。本当は富士山を見ながらまったりとビールを、なんて考えていたのだけど、時間はすでに3時を回っていて、それなりに疲れていたし、それよりも早くビールが飲みたかった。と言うことで、急きょ雲取山荘のテン場に泊まることとした。日曜日のテン場は夕方だというのに自分含めて5張り程度。山荘前のテラスも人影はまばら。6月初めのこの時期、気温は20度もなく、結構涼しい。テントを張り終えた自分はテラスで早速ビール片手に地図を広げ、明日はどのコースで下りようかと思案する。この時間がたまらない。ウインナーも焼いて気分はさらに高まる。この日はこんな感じで気分を良くしたまま夜が更ける前にシュラフに潜り込んだ。

日曜日ということもあり、まばらなテン場。まあ、静かでいいけど。
翌日は雲取山山頂で初めて1人きりになるという経験をし、石尾根をひたすら奥多摩方面に向かって歩いた。途中、六ツ石山からトオノクボという小ピーク経由で水根方面に下りたが、この登山道が最悪だった。なんといっても急登が長過ぎる。足を踏ん張っての下りはボディーブローのように体力を削り取られ、水根に着いたときはヘロヘロのガクガク。最近こんなことが多いなと思いつつ、なんとかバスの時間に間に合い、一応、無事に下山することができた。それにしてもあの急登、異常だった。下りるのも嫌だけど、登るのもごめんだ。これまで奥多摩の尾根も随分と歩いてきたけど、歩いていない尾根は大体こんな感じなのかな。そろそろ奥多摩歩きも新たな趣向を考えないといけないかな、今回はそう思う歩きとなった。さて、次はどの山歩こう。

雲取山山頂に辿り着くと、誰もいなかった。雲取山独り占め。
【Start 1日目:7:04東日原BS~10:08登山口~13:23芋ノ木ドッケ~14:59雲取山荘、2日目:6:03雲取山荘~8:30七ツ石山~10:54鷹巣山~12:36六ツ石山~Goal 15:16水根BS】
総行程は、距離(1日目:約16.4km、2日目:約18km)、出発地点標高620m、最高標高2017m(雲取山)、最低標高532m(水根BS)、移動平均速度(1日目:2.0km/h、2日目:約2.2km/h)、総所要時間(1日目:約7h55m、2日目:約9h13m)(2日目、途中でGPSの電池が切れた...)

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2018年5月13日日曜日

美しき瘤(こぶ)岩『瑞牆山』

登山道の途中から見えてくる瑞牆山。何と神々しい姿だろう。
久々に家内と山を歩いた。花粉症の家内は2月を最後に山は小休止状態だったが、ここにきてようやく歩けるようになってきたらしい。歩いてきたのは『瑞牆山』。深田百名山にも指定されているこの山は、昔、瘤(こぶ)岩と呼ばれていたらしく、山頂付近の岩の形が特徴的で美しく、何年か前に金峰山に登った時に初めて目にしたが、その時も「きれいな山だな」と、印象に残っていた。

いつもこんな感じなのかな?この日は路上駐車がいっぱいでした。
一般的な登山口は麓のみずがき山荘のすぐ前にある。100台くらいの無料駐車場があるようで、この日はここを目指し、朝6時に家を出発した。ゴールデンウィークの最中、中央道はそれなりの混雑で、途中、ゆるゆるとなりながらも、なんとか9時頃にみずがき山荘付近まで到着した。ずいぶんと山深くまで入っていったつもりではあったが、さすが人気の山、駐車場はすでに一杯なうえ、その付近の道路にも百台は超えているのではないかと思われるほどの車が路上駐車していた。自分も山荘をずいぶん越えた路上に駐車スペースを見つけ、そこに停めた。本当はいけないことなんだろうけど、しょうがなかった(のかな?)。

富士見平林道の標識。踏み入ったのは自分たちだけ。大やけどはしなかった(笑)。
身支度を整え、歩き始めようとしたとき、駐車したすぐそばの道路脇に「富士見平林道」との古い標識が立っている。舗装道路をみずがき山荘まで戻るより、こっちの方が早いとこ山歩きができるだろうと思い地図を確認するも登山道の表示はない。古い登山道なんだろうなと思いつつ、ただ、この辺の緩やかな地形も確認できていたので、この旧道を進んでみることとした。歩き始めると古びた木製の階段もすぐになくなり、かすかに残る踏み跡と地図とコンパスを頼りに歩を進めることとなった。自分の好きな、ちょっとした冒険歩きだが、今日は家内も一緒だから、あまり深追いはできない。小さなピークを過ぎて、すぐに林道方面に向かった。そうそう、今日はそういう歩きをする日ではないのだと。

林道途中から登山口に合流。いよいよ本格的な山歩きが始まる。
結局、近道のつもりが、やや遠回りとなってしまった歩き始め。家内は黙っていたが、恐らくイラっときていただろう。その後、正規の登山道に入って高度を上げていくと、すぐに富士見平小屋が見えてくる。営業意識満載の小屋前のテン場には早くも数十張りのテントがあり、皆、楽しそうに談笑している。「こんなところでテン泊してビールでも飲みたいわ」と、家内は言うが、なんだか毒を感じる。さっきのことをまだ根に持っているようだ。

大賑わいの富士見平小屋のテン場。これから瑞牆?それとも金峰?
気を取り直して、さらに歩を進めると、正面に峨々とそびえる瑞牆山が姿を現した。なんと威厳のある神々しい姿なんだろうと、思わずパシャリ。この後、ルートは一旦沢まで下りてから一気に山頂目指して登り返す。途中の桃太郎岩の大きさに驚き、どんどん傾斜を上げていく上り坂に戸惑い、名前は分からないけどてっぺんが見えないほどの大岩の辺りまでくる頃には、結構な岩場が連続してくる。考えてみると、この山、遠くから見える姿は岩山だから、こんな感じになるのも頷けるわけだ。家内も予想外に岩歩きを楽しむことになったことに浮かれすぎてしまって、途中の鎖場で不用意にもコケてしまった。幸い打撲程度で済んだからよかったけど、下手をすれば下手をする。山ではどんな状況でも気を緩めてはいけないのだと言う手本を体を張って示してくれたようなものだ。

この日、初めての巨岩、桃太郎岩にびっくり!つっかえ棒がお茶目。
沢から1時間半歩くと(と言うより登ると)、ようやく分岐標識のある肩まで辿り着く。ここまで来ると、あとは多少の鎖と階段をクリアして山頂だ。と、簡単に言うが、ここに来るまでに久しぶりの山で、しかもなかなかの登りを味わった家内はすでにヘロヘロ。途中でリタイアすることも考えたらしい。それでも頑張り通した君はエライ!(ちゃんと下りの体力も残していたし)

連続する鎖場を抜けると大きな岩が見えてきた。何岩だろう?
最後、山頂間際の暗い林を抜け、大岩の連なる美しく開放的な山頂に出た時の爽快感や達成感はなかなかのもの。家内もようやく元気を取り戻した様子。ただ、この日の山頂は人が多い!足を滑らせたり、人にぶつかってしまうと大変なことになりそうな崖続きの山頂は登山者で大賑わい。あちこちから「ちょー恐い」だの「おい、頼むから押すなよ」と言って、笑いながらも顔を引きつらせて岩山の上を楽しんでいる。

瘤(こぶ)岩の頂は多くの登山者で賑わっていた。
自分たちは自分たちで、高度感を楽しみつつ、次に歩く山を模索するかのように、眼前に広がる山々を目を細めながら眺めていた。隣にそびえる金峰山の五丈岩がぽっこりと目立って見えていて、いつだったか家内と歩いた日を思い出す。あの時はたしか娘も一緒だった。そんな日もあったなと、つい想いにふけってしまう。

岩の向こうには金峰山が間近に。五丈岩もしっかりと確認できる。
その後、風を避けるために山頂下の林の中で昼食のインスタント麺を2人ですすり、すっかり復活した家内は「下りの女王」と化して、帰りは足取り軽快にスタスタと下りていった。そして気がつけば歩き始めの不穏な雰囲気もいつの間にかどこかに行ってしまっていて、いつも通りの楽しい山歩きになっていた。ただ、帰り道、富士見平小屋の前を通ったときに、ふと「あ〜ビール飲みたい」だって、少しだけドキッとしたよ(笑)。さて、次はどの山歩こう。

【Start 9:03富士見平林道口~9:45登山道出合~10:13富士見平小屋~10:49天鳥川~12:31瑞牆山山頂(昼食)~14:07天鳥川~14:40富士見平小屋~15:28瑞牆山荘~Goal 15:33富士見平林道口】
総行程は、距離約 9.0km、出発地点標高1533m、最高標高2230m(瑞牆山山頂)、最低標高1533m(出発地点)、移動平均速度 約1.3km/h、総所要時間6h30m(recorded by garmin)

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