トレッキング初心者が始めちゃったブログ

【ここだけの話】『トレッキング初心者が始めちゃったブログ』 と、タイトル設定したけど、今のところ主な活動は、「山登り」、「山歩き」、要は登山ですね。これが実に楽しい。タイトル下にも書いたけど、本当に不思議なくらいにこの世界に引き込まれていく自分が突然として顔を見せた。自分はいい年齢(トシ)なので、余り危険なことをする気はないけど、若いうちにこの世界を知っていれば、もしかしたら冒険心みたいな気持ちに灯がともってしまったかもしれない。この「山の世界」、かなりお勧めである。

2024年5月12日日曜日

GWテン泊山行『藤原岳、竜ヶ岳』(ピストン編)

2日目は、朝5時起床。山で迎える朝としては、決して早くない時間ではあるが、この日の山行計画からすると、この時間で十分だと踏んだから。この日は、ピストン縦走を計画していて、目指すは干支の山『竜ヶ岳』。辰年の今年、是非ともこの山は歩きたいと年の初めから思っていた。なぜかというと、まあ、めでたいからということだろう。竜ヶ岳までは、片道約7km、ピストンコースなので、総距離はその倍。アップダウンはこの間、上下とも約1400mとなかなかで、問題だったのは、この日の天気予報は快晴で、平地では30℃まで気温が上がるようだから、標高1000m前後のコースでは、それなりの暑さは覚悟しなければならない。

意を決して、テン場を離れ、何が訪れるか分からない山歩きを楽しむこととした。最初は藤原岳、サブザックで身軽な分、サクサクと歩は進み、歩き始めから10分くらいで山頂に到着。ここからが自分にとっては未踏の地で、まずは恐ろしく急な岩だらけの急登を一気に下る。きっと戻りでは、最後のへとへとになった状態でこの坂を登ることになるんだろうなと思うと、最初から気が重くなるが、今から考えてもしょうがないので、坂を下りきってからの登りに挑む。この坂がなかなかに急で大変、と思ったら登った以上にすぐに下にかかる。と思ったら、みたいに序盤は激しいアップダウンを繰り返すこのコース、中間地点だと思っていた治田峠が遠いのなんの。

あらかじめ持っていたイメージとしては、治田峠までがおおむね下りで、そこからは登り返すと思っていたが、まあ、間違ってはいないのだろうが、アップダウンの多さが、その感覚を狂わしてしまう。とはいっても、体力を温存しての歩きに心がけ、治田峠を越えてもまだまだ余裕はあった。

コースは基本的に樹林帯だがところどころで視界が開けるところがあって、そこからはどこの町だろう、下界が広がっているのが見える。谷から吹き上がってくる風は程よく冷たく、火照った身体に心地いい。聞こえてくるのは、鳥のさえずりと風の音だけ。ウグイスが「ホーホケキョ」と鳴くと、自分も続けて口笛で真似をする。するとウグイスもまた応えてくる。そんなことで単調な山歩きに彩りを添えながら、ずんずんと前進していく。途中、すれ違う人は少なく、たまにすれ違う登山者は、若い登山者は別として、おじさんたちは皆、息を弾ませ、楽しそうな、いや苦しそうな表情を浮かべている。

登山道は荒れているわけではないが、ところどころに滑落に気をつけなければならないような箇所があり、油断はできない。テン場には水場がないので2泊3日の山旅に使う飲料水は全て担ぎ上げてきたから、この日の飲み水も大事に飲まなければならず、ピストン山行に持ってきた水は、1200ml。快晴の暑さに耐えながらも、極力前半では節水しなければと思い、自然に足取りもゆっくりとなる。ただ、汗は容赦なくかいているようだ。

片道4時間かかると思っていた前半も目指す竜ヶ岳が近づいてくるにつれて、多少、早めに着きそうなことが分かってきた。「調子いいぞ」と、1人満足する自分。そしていよいよ竜ヶ岳が見えてきた。なんて綺麗な山なんだというのが、第一印象。山頂付近に樹木はなく、笹原だろうか、山が覆われていて、その輪郭がはっきりと分かる。優しそうな山だ。やはり来てよかった。おそらくあと10分とか20分で着く距離まで来ているのだろう。

周りには、里からのコースを歩いてきたのであろう登山者がたくさん歩いている。登山道もひらけていて、開放的な気分になる、いい登山道だ。あっという間に山頂に辿り着き、その展望に癒され、しばし休憩した。遠くには雪を被った白山、御嶽、乗鞍が見えるし、近くに目を転じると歩き始めの藤原岳、その隣に去年歩いた小池岳も見える。なんだか、この辺の山域に愛着が湧いてきているようだ。さあ、早くテントに戻ろうと思い立ち、折り返しを開始した。

折り返しというのだから、さっき歩いてきたコースを歩いているはずなのに、なんだか記憶が定まらないというか、覚えていない箇所が随所にある。でもまあ、折り返しというのはそういうことなのだろうと考え、気楽に歩くこととした。まずは、中間地点の治田峠を目指すのだが、これがまた往路と同じように、なかなか着かない。道を間違えたのではないだろうかと思うほど、遠く感じる。

そうそう、往路もそうだったが、ところどころにある緩やかで広い尾根や、トラバースは枝などにくくり付けられている目印が頼りで、ちょいちょいそれを見逃して、何度かコースアウトを繰り返した。戻りの時には気をつけようと思っていたが、同じ場所かは定かではないが、同じ過ちを繰り返していたようだ。ただ、自分の場合は、スマホに地図アプリを入れていて、しかもコース設定もしてあるので、これが結構、役に立った。スマートウォッチにも連動させているので、スマホをいちいち出すことをしなくても手軽にコースを確認できるのは、地味だが便利。この日もこれがずいぶんと役に立った。

ようやく治田峠を通過して、いよいよ登り地獄の開始。歩き始めに覚悟していたとおり、アップダウンを繰り返しながら連続する登りは苦しい。でも、そんな時に心の支えになるのが、余裕のある時間設定で、治田峠を通過した時も、まだお昼前。これが、日没を意識するような歩きだとすると、正直、パニックにもなりかねない。「おじさん、ゆっくり歩けばいいことだよね」と、何度も言い聞かせ、登りの途中で、きつくてどうしようもなくなった時には、そこでしばらく休憩して、何度も体力を回復させた。

あんなに遠くに見えてた最後の藤原岳も気づけば、目の前に見えてきた。残りの水は約400ml。行動食も十分に残っている。時間もOK。こうなれば、あとは時間の問題。最後の激登りもゆっくりとゆっくりと登り、登りきった。そこまで来て、残りの水を乾いた喉に流し込み、藤原岳山頂に顔を出した。相変わらずすごい登山者の数だと、本当は疲れ果てているのにあたかも余裕のありそうな素振りで辺りを見回したあと、最後の力を振り絞って駆け下りるようにテン場を目指した。

その後、10分もかからずにテン場に着き、真っ先にあれを探した。もち、ビールです。ザックにガサゴソと手を突っ込み、大事に保管してあったそれを探す。「あった」、そして「まだ冷たい」。2日前からガチガチに凍らせて持ってきたのが功を奏したようだ。まだ冷たい!それを取り出し、蓋を乱暴に開け、それでもこぼさないように丁寧に口元に缶を運び、そして一気に缶を傾ける。砂漠と化した口や喉に冷えたビールが流れ込み沁みていくのがよく分かる。生きていてよかった。冷えていてよかった(笑)の瞬間でした。ああ、山ってやめられない(やめられないのは山なのか?)。この時、時刻は13時半。

一息ついたあとは、熱いテントの中で少しだけ昼寝をし、途中暑さに耐えかねて、避難小屋に移動して昼寝を続け、そんな感じでうだうだしていると、すでに夕刻。賞味期限切れの尾西を食べて、かろうじて、そろそろ寝てもいいだろうという時間まで頑張って、この日も無事にシュラフと一体化しました。


▽ ヤマレコ情報

(2日目)

GPS 07:23 距離 14.2 km 登り ─ m 下り ─ m

(3日間合計)

GPS 12:42 距離 21.4 km 登り 2,257 m 下り 2,283 m




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