トレッキング初心者が始めちゃったブログ

【ここだけの話】『トレッキング初心者が始めちゃったブログ』 と、タイトル設定したけど、今のところ主な活動は、「山登り」、「山歩き」、要は登山ですね。これが実に楽しい。タイトル下にも書いたけど、本当に不思議なくらいにこの世界に引き込まれていく自分が突然として顔を見せた。自分はいい年齢(トシ)なので、余り危険なことをする気はないけど、若いうちにこの世界を知っていれば、もしかしたら冒険心みたいな気持ちに灯がともってしまったかもしれない。この「山の世界」、かなりお勧めである。

2018年7月8日日曜日

南アルプスの女王でした『仙丈ケ岳』

小仙丈ケ岳を過ぎたところで女王様を仰ぎ見る。小仙丈カールが美しい。

先月に続きまた仕事をサボって山に行ってきた。世間の皆さんが仕事をしている中、自分だけが、こっそりと山歩きを楽しむ。このとき感じる罪悪感というか後ろめたさが、どうも癖になってきたみたいだ。こんな自分もいたんだと、改めて自分の駄目さ加減に興味が湧いてきた。(おいっ、少しは反省しろ自分!)
今回の山は南アルプスは『仙丈ケ岳』と『甲斐駒ケ岳』。欲張って深田百名山を二座まとめて歩いてきた。この二つの山、一つのベースキャンプでどちらも歩くことができるから、以前から狙っていたプランではあったのだけど、今回、そのチャンスを無理やりこじ開けたというわけ。

長衛小屋では、この日、長衛祭なるものを行っていた。山開き?

ということで、目指したのは南アルプス北部の登山拠点の北沢峠。ここは山梨県南アルプス市と長野県伊那市の県境にある。アクセスはJR甲府駅からで、バスを二本乗り継いで山の奥の奥へ揺られること2時間半。テン場のある長衛小屋に着いたのは午前10時前。さすがに涼しい。まったりとしたい気持ちを抑え、早速準備に取り掛かる。歩ける時間は日暮れまでとして約8時間、そうはいっても早く戻ってくる分に越したことはない。この日はそんな時間的制約がある中、歩きが始まった。

北沢峠の登山口。さあ、いよいよだ。ワクワクの瞬間。

まず歩いたのは『仙丈ケ岳』。この山、「南アルプスの女王」との異名を持っていて、山容が優雅で気品高き雰囲気を持っている。登山道もその雰囲気どおり急登や危険箇所はほとんどなく、比較的、安全に登ることができる。もちろん、そうはいっても標高3033mと国内屈指の高山なので、登るとなるとそれなりの大変さは伴う。自分も3000m峰は初めてだったので、歩き始めからワクワク、ドキドキといった感じ。何と言っても3000m峰ですからね(しつこい?)。

歩き始めはやはり樹林帯。この時間帯に歩き始める人は少ないみたい。

歩き始めはどの山も同じく樹林帯。この山の樹林帯は基本、シラビソなんだけど、杉やその他の広葉樹も少し混じっている。奥多摩とは違って、ちゃんと整備はされていないようだが、まさか原生林ってことはないだろう(いや、そうなのか?)。一人、静かな樹林帯を歩くこと1時間半、ようやく森林限界が訪れ、視界が広がってくる。とはいっても、この日は残念ながら曇りがちの空模様。正面の小仙丈ヶ岳(だろうか)はしっかりと見えているけど、後ろの甲斐駒ケ岳は、ほとんどが雲に隠れていて、時折、ちょこっとだけ顔を出すくらい。

振り返ると、それまで雲に隠れていた甲斐駒ケ岳が不気味に山頂付近を見せた。

先を急ぐ自分は、ぐんぐん歩を進めるが、ここの登山道は、いわゆる急登と呼ばれる箇所がほとんどない。だから進んだ分の高度感があまり感じられないが、それでも途中で見えたテン場がかなり下方に確認できたので、そのとき初めて「へ〜」といった感動を覚えた。

正面に見える小仙丈ケ岳。天気は持ってくれるだろうか。

小仙丈ヶ岳を過ぎると、ようやく恥ずかしがり屋の女王様が顔を見せる。稜線を大きく広げ、足元に小仙丈カールをまとったその姿は、まさしく「南アルプスの女王」と呼ばれるにふさわしい気品を感じる。「ああ、美しい」というのが、正直な第一印象。しかも気づくと、登山道沿いには、色々なお花が咲いているではないか。あまり詳しくはないが、知っているだけでも、コイワカガミ、ミヤマキンバイ、イワウメ、ハクサンチドリ、ハクサンイチゲ、オヤマノエンドウ、そのほかにも色んな高山植物が咲き乱れていた。今回、写真でしか見たことのないようなお花畑に出会えたことも大収穫だった。

登山道脇に咲くミヤマキンバイ。先には『仙丈ケ岳』山頂が。
これはハクサンイチゲでしょうか。初めて見ました。

やはり残念だったのは、天気。「もしかして」を期待して、その後、難なく山頂まで辿り着き、しばらくそこでも待機したが、結局は雲は晴れてくれず、大展望は空振りに終わった。それでも、足下のカール地形やお花畑、何よりも仙丈ケ岳の雄大な姿をしっかりと目に焼き付けることができたし、自分にとっては初の3000m峰を歩くことができたので、この日の山歩きは、十分に満足できた。

藪沢カールの底に仙丈小屋が見える。

忘れてならないのは、この日は時間を気にしなければならない山歩き。下りもしっかりとそのことを意識して、やや早歩きで先を急いだ。途中、バテてきて、足元がフラフラしてきたけど、そこは山歩きに多少慣れてきた自分、急ぎながらも、必要な時には小休止を取り、無理せず無事に下りてくることができた。テン場に着いて、まず清水で顔を洗い(気持ちよかった〜)、予め冷やしておいたビールをグビッと飲み(最高に美味かった〜)、テント前でいつものグダグダ休憩(まじ、落ち着く〜)。この日も日暮れを待たずに寝入ってしまった自分。なんて気ままなオジさんなんだろう。でも、ささやかな幸せを感じます。ママ(実はこう呼んでる)ありがとう。さあ、翌日はいよいよ念願の甲斐駒ケ岳、ビールを飲みながらグダグダしていたときも、実は自分的には密かにテンションを上げていました。あ〜、それにしても涼しい夜だった。それに比べ、下界はあぢぃ。
(2日目に続く)

夕方6時ころ、テン場にも雲が下りてきた。「さあ、寝よう」の画。
【Start 10:15長衛小屋~10:25北沢峠登山口~11:55六合目森林限界~12:14小仙丈ケ岳~13:34仙丈ケ岳~14:17小仙丈ケ岳~14:47六合目森林限界~15:55北沢峠登山口~Goal 16:06長衛小屋】
総行程は、距離約 12.0km、出発地点標高1982m、最高標高3033m(仙丈ケ岳山頂)、最低標高1982m(出発地点)、移動平均速度 約1.8km/h、総所要時間5h51m(recorded by garmin)

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2018年6月24日日曜日

山歩き8年、奥多摩軌跡

先日、雲取山を歩いていてふと思った。「奥多摩、ずいぶん歩いたなあ」と。自分が山歩きを始めたのは2011年。初めての単身赴任を終えて、家内と共通の趣味を持って、離れ離れだった期間を少しでも取り戻そうと思ったのがきっかけだと記憶している。その時に初めて歩いたのが奥多摩は鳩ノ巣渓谷。その時の感動が忘れられなくて、その後も奥多摩に足しげく通った。都内に近いこともあって(というか奥多摩はほぼ東京都だから)、家内とだけではなくて、一人でもとにかく歩いた。
やがて、奥多摩以外の山域にも足が向き、いつしかアルプスだの八ヶ岳だのと人気の山を歩くようになった今でも、地元の裏山散歩でもするかのように奥多摩を歩いている。さすがにこれからの季節は、暑かったり虫が多かったりでなかなか奥多摩は歩かなくなるだろうけど、それでもがっつりと歩きたいときは奥多摩を歩くんだと思う。歩きなれた山域だけあって、とにかく安心感はある。だから、これからも奥多摩は自分にとっては大切な場所、きっと年を取って歩けなくなるまで、ずっと、ずう~っと、歩くんだと思う。
今回、自分が山歩きの記録を取っているカシミールの奥多摩軌跡を改めて振り返ってみた。いや~、さすがに結構歩いたなって感じですね。

主要な登山道はほぼ歩いたかな。それにしてもよく歩いたものだ。

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2018年6月17日日曜日

ひとり奥多摩歩き『二軒小屋尾根』

「長沢谷のカツラ」、威風堂々と佇んでいました。

最近、仕事が忙しかったこともあり、人と距離を置きたかったのだと、改めて振り返るとそう思う。先日、自分としては珍しく休みを取って山に入った。計画していたのは北アルプスだったけど、天気の都合もあり結局はいつもの雲取山を歩いてきた。
ただ、当初計画を断念した悔しさもあり、どうせ歩くならと、登りは『二軒小屋尾根』を歩くこととした。この尾根は、山と高原地図には登山道として掲載されていないが、奥多摩を歩く者としては巨樹で有名なコースとして密かな人気を誇るコースではあった。自分も何年か前に山で出会った方に教えてもらい、いつかは歩いてみようと、やはり密かに企んでいた。

久々の東日原バス停。この日、バスを降りたのは自分含め5人。

家を出発したのは日曜日の早朝、まだ太陽が顔を出す前。始発電車に乗り込み、奥多摩駅からは久々の日原行きのバスに揺られ、東日原のバス停から歩き始めたのは午前7時を回っていた。初めから覚悟はしていたけど、林道を歩くこと延々3時間、ようやく登山口に辿り着く。

日原から林道を3時間歩き続けようやく登山口が見えてきた。

この登山口は大ダワ林道にも通じているが、現在、大ダワ林道は途中崩落のため通行止めとなっているはず。まずは谷下の沢まで降りるトラバース道。踏み跡の少ない狭い登山道を慎重に降りて沢の前まで来ると、ないと思っていた橋がしっかりと架かっていた。真新しい容姿からすると、最近できたらしい。当然にして難なく川を渡り、対岸に着いてからは登山道探し。川に沿って上流方向に進むとすぐにピンクテープが見え、尾根に向かって踏み跡が見えた。登山道だ。しかもそこには樹齢数百年にも及ぶだろうあの「長沢谷のカツラ」がデーンと構えていた。雰囲気からして山に入る際にはこの古木に挨拶するのだろうと察した自分は、丁寧に山に入ることの許しを乞うとともに、行く先の安全を祈願した。

立派な橋ができていました。この分だと大ダワ林道も修復するのか?

その後、延々と尾根歩きが続くが、比較的緩やかで広めの尾根は見通しがよく、歩いていて実に気持ちがいい。もちろん、噂どおり巨樹だらけの森だ。ただ、この日、この山域に入っているのはおそらく自分だけだろうから、野生動物との遭遇には常にびくびくしていた。久々にしっかりと鈴を鳴らして歩くも、この季節、山の中はヒメハルゼミの大合唱が響き渡り、自分の鈴などなんの役にも立ちそうにない。出るなら出てみろツキノワグマってことか。

広々とした尾根。登山道は常に尾根の中央にあるので迷いはない。

梅雨の合間のこの日は気温も上がっているようで、汗の量もハンパない。そろそろ奥多摩歩きも一時中断かなと思いながらも、この汗は欲張って担いできたビールも影響しているのだと思う。一泊の予定なのに6缶もだ。ここまで来ると自分でもバカと言うしかない。
さて、この『二軒小屋尾根』はピークの芋の木ドッケを目指して途中、2〜3ある小ピークを経て徐々に高度を上げて行き、最後の登りでこれでもかってくらい一気に急登を直登していく。

芋ノ木ドッケ頂上まであと少し。最後の急登が結構キツイ。

一気にとは言ったが、実際にはさすがに休み休み登っていくわけだが、この時期はハエに似た羽虫がわんさかいて、休むたびに自分の周りを何十?何百?もの虫がうようよと飛び回るものだから、落ち着いて休んでもいられない。刺すわけではないので、なんてことないと言えばそうなのかもしれないけど、とにかく数が多いものだから気持ちのいいものではない。そんなことで、途中休憩もままならず、やはり一気に近い形で芋の木ドッケにたどり着いた時は、さすがに倒れこんだ。日曜日でおそらく登山者もほぼ通らないであろう奥多摩最深部の登山道の真ん中でザックを降ろし、しばらく休憩するとともに遅めの昼食をとった。

芋ノ木ドッケから振り返ってみる。トラロープの先の尾根を登ってきたのだ。

落ち着きを取り戻した後は、雲取山方面に向けて歩き出す。せっかく登った芋の木ドッケを一気に下りる。巻き道はなかったのかと、ぶつぶつ呟きながら、大ダワにほど近い登山道を歩いていると若い二頭のニホンジカを見かけた。写真を取っていると、その鹿たちがこちらを直視しながら徐々に近づいて来る。まさかと思いつつも、そのまま見ていると、5〜6m付近まで来て、さらに近づいて来る気配だったので、さすがに気持ちが悪くなって、その場から離れた。その後も鹿たちは自分の後ろを10分以上も付いてきたけど、さすがに大ダワからの男坂を登っていくと付いてこなくなった。それにしてもなんだったのだろう。今度、行くときは鹿せんべいでも持って行こうか(笑)。

後をつけてくる2頭の若シカ。好奇心すご過ぎ!

その後、雲取山荘に到着した自分、休憩をとりながら、奥多摩小屋まで行こうか迷っていた。本当は富士山を見ながらまったりとビールを、なんて考えていたのだけど、時間はすでに3時を回っていて、それなりに疲れていたし、それよりも早くビールが飲みたかった。と言うことで、急きょ雲取山荘のテン場に泊まることとした。日曜日のテン場は夕方だというのに自分含めて5張り程度。山荘前のテラスも人影はまばら。6月初めのこの時期、気温は20度もなく、結構涼しい。テントを張り終えた自分はテラスで早速ビール片手に地図を広げ、明日はどのコースで下りようかと思案する。この時間がたまらない。ウインナーも焼いて気分はさらに高まる。この日はこんな感じで気分を良くしたまま夜が更ける前にシュラフに潜り込んだ。

日曜日ということもあり、まばらなテン場。まあ、静かでいいけど。

翌日は雲取山山頂で初めて1人きりになるという経験をし、石尾根をひたすら奥多摩方面に向かって歩いた。途中、六ツ石山からトオノクボという小ピーク経由で水根方面に下りたが、この登山道が最悪だった。なんといっても急登が長過ぎる。足を踏ん張っての下りはボディーブローのように体力を削り取られ、水根に着いたときはヘロヘロのガクガク。最近こんなことが多いなと思いつつ、なんとかバスの時間に間に合い、一応、無事に下山することができた。それにしてもあの急登、異常だった。下りるのも嫌だけど、登るのもごめんだ。これまで奥多摩の尾根も随分と歩いてきたけど、歩いていない尾根は大体こんな感じなのかな。そろそろ奥多摩歩きも新たな趣向を考えないといけないかな、今回はそう思う歩きとなった。さて、次はどの山歩こう。

雲取山山頂に辿り着くと、誰もいなかった。雲取山独り占め。
【Start 1日目:7:04東日原BS~10:08登山口~13:23芋ノ木ドッケ~14:59雲取山荘、2日目:6:03雲取山荘~8:30七ツ石山~10:54鷹巣山~12:36六ツ石山~Goal 15:16水根BS】
総行程は、距離(1日目:約16.4km、2日目:約18km)、出発地点標高620m、最高標高2017m(雲取山)、最低標高532m(水根BS)、移動平均速度(1日目:2.0km/h、2日目:約2.2km/h)、総所要時間(1日目:約7h55m、2日目:約9h13m)(2日目、途中でGPSの電池が切れた...)

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2018年5月13日日曜日

美しき瘤(こぶ)岩『瑞牆山』

登山道の途中から見えてくる瑞牆山。何と神々しい姿だろう。

久々に家内と山を歩いた。花粉症の家内は2月を最後に山は小休止状態だったが、ここにきてようやく歩けるようになってきたらしい。歩いてきたのは『瑞牆山』。深田百名山にも指定されているこの山は、昔、瘤(こぶ)岩と呼ばれていたらしく、山頂付近の岩の形が特徴的で美しく、何年か前に金峰山に登った時に初めて目にしたが、その時も「きれいな山だな」と、印象に残っていた。

いつもこんな感じなのかな?この日は路上駐車がいっぱいでした。

一般的な登山口は麓のみずがき山荘のすぐ前にある。100台くらいの無料駐車場があるようで、この日はここを目指し、朝6時に家を出発した。ゴールデンウィークの最中、中央道はそれなりの混雑で、途中、ゆるゆるとなりながらも、なんとか9時頃にみずがき山荘付近まで到着した。ずいぶんと山深くまで入っていったつもりではあったが、さすが人気の山、駐車場はすでに一杯なうえ、その付近の道路にも百台は超えているのではないかと思われるほどの車が路上駐車していた。自分も山荘をずいぶん越えた路上に駐車スペースを見つけ、そこに停めた。本当はいけないことなんだろうけど、しょうがなかった(のかな?)。

富士見平林道の標識。踏み入ったのは自分たちだけ。大やけどはしなかった(笑)。

身支度を整え、歩き始めようとしたとき、駐車したすぐそばの道路脇に「富士見平林道」との古い標識が立っている。舗装道路をみずがき山荘まで戻るより、こっちの方が早いとこ山歩きができるだろうと思い地図を確認するも登山道の表示はない。古い登山道なんだろうなと思いつつ、ただ、この辺の緩やかな地形も確認できていたので、この旧道を進んでみることとした。歩き始めると古びた木製の階段もすぐになくなり、かすかに残る踏み跡と地図とコンパスを頼りに歩を進めることとなった。自分の好きな、ちょっとした冒険歩きだが、今日は家内も一緒だから、あまり深追いはできない。小さなピークを過ぎて、すぐに林道方面に向かった。そうそう、今日はそういう歩きをする日ではないのだと。

林道途中から登山口に合流。いよいよ本格的な山歩きが始まる。

結局、近道のつもりが、やや遠回りとなってしまった歩き始め。家内は黙っていたが、恐らくイラっときていただろう。その後、正規の登山道に入って高度を上げていくと、すぐに富士見平小屋が見えてくる。営業意識満載の小屋前のテン場には早くも数十張りのテントがあり、皆、楽しそうに談笑している。「こんなところでテン泊してビールでも飲みたいわ」と、家内は言うが、なんだか毒を感じる。さっきのことをまだ根に持っているようだ。

大賑わいの富士見平小屋のテン場。これから瑞牆?それとも金峰?

気を取り直して、さらに歩を進めると、正面に峨々とそびえる瑞牆山が姿を現した。なんと威厳のある神々しい姿なんだろうと、思わずパシャリ。この後、ルートは一旦沢まで下りてから一気に山頂目指して登り返す。途中の桃太郎岩の大きさに驚き、どんどん傾斜を上げていく上り坂に戸惑い、名前は分からないけどてっぺんが見えないほどの大岩の辺りまでくる頃には、結構な岩場が連続してくる。考えてみると、この山、遠くから見える姿は岩山だから、こんな感じになるのも頷けるわけだ。家内も予想外に岩歩きを楽しむことになったことに浮かれすぎてしまって、途中の鎖場で不用意にもコケてしまった。幸い打撲程度で済んだからよかったけど、下手をすれば下手をする。山ではどんな状況でも気を緩めてはいけないのだと言う手本を体を張って示してくれたようなものだ。

この日、初めての巨岩、桃太郎岩にびっくり!つっかえ棒がお茶目。

沢から1時間半歩くと(と言うより登ると)、ようやく分岐標識のある肩まで辿り着く。ここまで来ると、あとは多少の鎖と階段をクリアして山頂だ。と、簡単に言うが、ここに来るまでに久しぶりの山で、しかもなかなかの登りを味わった家内はすでにヘロヘロ。途中でリタイアすることも考えたらしい。それでも頑張り通した君はエライ!(ちゃんと下りの体力も残していたし)

連続する鎖場を抜けると大きな岩が見えてきた。何岩だろう?

最後、山頂間際の暗い林を抜け、大岩の連なる美しく開放的な山頂に出た時の爽快感や達成感はなかなかのもの。家内もようやく元気を取り戻した様子。ただ、この日の山頂は人が多い!足を滑らせたり、人にぶつかってしまうと大変なことになりそうな崖続きの山頂は登山者で大賑わい。あちこちから「ちょー恐い」だの「おい、頼むから押すなよ」と言って、笑いながらも顔を引きつらせて岩山の上を楽しんでいる。

瘤(こぶ)岩の頂は多くの登山者で賑わっていた。

自分たちは自分たちで、高度感を楽しみつつ、次に歩く山を模索するかのように、眼前に広がる山々を目を細めながら眺めていた。隣にそびえる金峰山の五丈岩がぽっこりと目立って見えていて、いつだったか家内と歩いた日を思い出す。あの時はたしか娘も一緒だった。そんな日もあったなと、つい想いにふけってしまう。

岩の向こうには金峰山が間近に。五丈岩もしっかりと確認できる。

その後、風を避けるために山頂下の林の中で昼食のインスタント麺を2人ですすり、すっかり復活した家内は「下りの女王」と化して、帰りは足取り軽快にスタスタと下りていった。そして気がつけば歩き始めの不穏な雰囲気もいつの間にかどこかに行ってしまっていて、いつも通りの楽しい山歩きになっていた。ただ、帰り道、富士見平小屋の前を通ったときに、ふと「あ〜ビール飲みたい」だって、少しだけドキッとしたよ(笑)。さて、次はどの山歩こう。

【Start 9:03富士見平林道口~9:45登山道出合~10:13富士見平小屋~10:49天鳥川~12:31瑞牆山山頂(昼食)~14:07天鳥川~14:40富士見平小屋~15:28瑞牆山荘~Goal 15:33富士見平林道口】
総行程は、距離約 9.0km、出発地点標高1533m、最高標高2230m(瑞牆山山頂)、最低標高1533m(出発地点)、移動平均速度 約1.3km/h、総所要時間6h30m(recorded by garmin)

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2018年5月12日土曜日

2018黄金週間山行『赤岳』(3日目)

3日目、朝起きて赤岳を見上げる。この日も天気はいい!

《2日目から続く》
ゴールデンウィーク山行最終日。この日の予定は南沢から美濃戸口まで帰るだけ。山行もこれで終わりかと思う反面、考えようによっては「今日の山行はこれから始まる」とも言えるので、気持ちを新たに山歩きを楽しむこととした。南沢も以前、積雪期に歩いたことがあったが、やはりその時と比べると印象はまるで違う。それでも歩き始めはそれなりに雪が残っていて、いくつ目かの森の中は完全に凍結状態で、朝早かったこともあり(ちなみに7時にはスタートしました)、そんな状況をある程度予想してアイゼンを装着していたことが奏功した。

森の中はこんな感じ。朝早いから凍結してる反面、踏み抜きはない。

ただその森を抜けると、雪はほとんど見られない。すれ違った登山者に聞いて見ると、アイゼンなしでも大丈夫というので、そこからは外して歩いてみる。その後、岩だらけで歩きにくい沢沿いと、幾つもの森を抜けて、砂防ダムを越えると、呆気なく美濃戸山荘が見えてきた。ここまでの所要時間は約2時間。朝早いこともあって開店休業状態の山荘では休憩も取らずに続けて美濃戸口を目指した。

鬱蒼とした森の中、光を浴びた緑を見るとホッとする。

この日も天気はよく、2日前にワクワクしながらこの道を歩いていたことを、ふと思い出す。だんだんと現実世界が近づいてくるが、まだ認めたくない自分は無理やり山のことに意識を持っていく。途中の馬頭観音さんに無事下山できたことにお礼をし、もっと山にいたい割には途中のショートカット道はしっかり利用し、そして美濃戸口に着いた。

南沢も終わり。美濃戸山荘が見えてきた。

すぐさま3日間の汗を流そうと、登山口そばにある「J&N」という小ぎれいなレストランを兼営している立ち寄り湯に浸かった。どうもこの日の下山者は自分が一番目らしく、お風呂は貸切状態。もっとゆっくりしていきたい気もあったが、図らずしも一番バスの出発時間に間に合ってしまったので、それに乗ることとした。乗ってみると乗車客は自分の他に1人だけ。行きもそうだったけど、意外に少なく、こんなものなのかと首を傾げてしまう。

一番風呂をいただきました。洗い場は4つで午後は込み合いそう。

走り出した帰りのバス、しばらくすると窓からは、行きの時と同じように八ヶ岳が当たり前にそこにいた。どんな季節だろうが、どんな天気だろうが、誰が登ろうが、その山は何万年も(いや、もっとか)ずっとそこにいる。そんなことを考えていたら、自分の一喜一憂は、なんて小さいことなんだろうと、少しだけ反省する。今回もまた山にひとつが教わったような気がして、「来年もまた来るよ」と山に約束し、振り返ることをやめた。山を下りる時、ちょっとだけセンチメンタルな気分になるんです。分かる人は分かりますよね。さて、次はどの山歩こう?
《1日目に戻る》

赤岳頂上からの眺めに思いを馳せる。必ずまた帰ってきますよと。
【1日目(青線):Start 9:25美濃戸口~10:39美濃戸~12:01堰堤広場(昼食)~13:15赤岳鉱泉~Goal 14:09行者小屋】
総行程は、距離約 9.1km、出発地点標高1489m、最高標高2372m(中山乗越)、最低標高1489m(出発地点)、移動平均速度 約1.7km/h、総所要時間5h21m(recorded by garmin)
【2日目(赤線):Start 8:50行者小屋~9:59中岳分岐~10:33赤岳山頂~11:18赤岳展望荘前(昼食)~Goal 12:31行者小屋】
総行程は、距離約 3.8km、出発地点標高2352m、最高標高2899m(赤岳山頂)、最低標高2352m(出発地点)、移動平均速度 約0.9km/h、総所要時間3h40m(recorded by garmin)
【3日目(水色線):Start 6:46行者小屋~8:51美濃戸~Goal 9:36美濃戸口】
総行程は、距離約 7.2km、出発地点標高2356m、最高標高2356m(出発地点)、最低標高1489m(美濃戸口)、移動平均速度 約2.5km/h、総所要時間2h50m(recorded by garmin)

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