トレッキング初心者が始めちゃったブログ

【ここだけの話】『トレッキング初心者が始めちゃったブログ』 と、タイトル設定したけど、今のところ主な活動は、「山登り」、「山歩き」、要は登山ですね。これが実に楽しい。タイトル下にも書いたけど、本当に不思議なくらいにこの世界に引き込まれていく自分が突然として顔を見せた。自分はいい年齢(トシ)なので、余り危険なことをする気はないけど、若いうちにこの世界を知っていれば、もしかしたら冒険心みたいな気持ちに灯がともってしまったかもしれない。この「山の世界」、かなりお勧めである。

2020年11月23日月曜日

エキチカ山行『高川山』

無人駅の「初狩駅」は、多くの登山者で賑わっていました。

最近、家内が山歩きに積極的になっている。自称「4時間膝」(4時間を超える歩きには膝が耐えられない...)の家内は、足の筋力を強化して、歩ける山を増やしたいと計画しているらしく、「私でも歩ける山」をやたらにおねだりしてくる。そうした意味では、今回のコースはガイド本によると3時間で、トレーニングとしてはうってつけであった。

ガイド本によると、この『高川山』は中央本線の初狩駅からそのまま歩いていけるため、そこそこ人気の山だということだ(そこそことは言ってなかったと思うが)。ということで、コロナ禍になって初めて電車でアクセスすることとした。新型コロナが流行し始めた頃は電車での山行にはやや抵抗があったが、マスクをし、大人しくしていれば電車はそれほど恐れる必要はないと、毎日の通勤経験によって、不安感はほぼなくなっていた。

集落の中を抜け、登山口に向かう。

9時過ぎに無人駅の初狩駅に到着した自分と家内、小さな駅なのに大勢の登山者が駅前で準備体操や待ち合わせをしているのにはやや驚いた。ワンゲル部らしき若者、おじさん達のお仲間、山ガールのお仲間、さらには犬を連れた家族まで。いろんな種類の登山者がそこに集まっていた。そこそこ人気があるとは、あながち嘘ではないようだ(だから、そこそことは言ってない)。

林道を歩き、登山口に向かう。

駅前から歩き始め、人気のない集落を20分ほどで抜け、墓地の前を通り過ぎるとだんだんと山らしくなってくる。この日は11月だというのにとても暖かく、林道に入る手前で2人とも半袖Tシャツ姿となった。さらに林道を20分くらい歩き進めると、左手に「男坂・女坂コース」と書かれた道標が見えてくるので、そこからいよいよ山に入ることとなる。1000mにも満たない低山なので、歩きは基本的に樹林帯コースで、途中なかなかに急坂がありながらも、家内は頭にある「3時間コース」が頼りになっているのだろう、「結構急だけど、気持ちいいね」と、終始、余裕の表情を見せている。そんな家内の期待を裏切ることもなく、汗をかかないようにゆっくりと歩いたにもかかわらず、2時間ほどで山頂が見えてきた。

この時期、山は落ち葉でいっぱい。

いざ、山頂に到着すると、狭いスペースに既に20人ほどの登山者が所狭しとひしめいていて、各々、食事の準備をする者もいれば、記念撮影をしたり、到着したばかりなのか何となく立ったまま景色を見たりしていた。自分たちはというと、予想外の密にやや圧倒されながらも、お目当の富士山方面を眺めてみると、生憎の分厚い雲が一面に広がっている。すぐには晴れない雲とわかると、密の山頂には興味はなく、少し下りたところの少しだけ開けた場所で昼食を取ることとした。時刻は11時だが、お腹はすでにペコペコ。この日の昼飯は相変わらずのカップ麺ではあるが、自分たちは普段、あまりインスタント系のものを食べないので、山でのカップ麺はそれなりに楽しみなのだ。強がりなしに...。ムカストーブでお湯を沸かし、準備を進めていると、この間にも登山客はどんどん増えてくる。自分たちの周りにはいつのまにか、子供会のグループのような集団が保護者含めて10人ほど陣取ってきた。出来上がったカップ麺をずるずるとすすり、スープをゴクゴクと飲む頃にはさらに混み合ってきたので、長居は無用と、準備してきたコーヒーをこの日も飲むことなく、密から逃れるように撤収し、その場を後にした。

山頂は「密」でした。ここは、犬まで登る人気の山のようです。

下りたのは登りとは逆の東側のコースで、富士急行田野倉駅を目指すこととした。山頂直下には10m以上はありそうな、ロープのついた急坂に取り付くことになるが、あんなに賑わっていた山頂のすぐそばにこの危険なロープ場(と呼ぶのか?)があることのギャップにやや違和感を覚えつつも、慎重に降りていく。まあ、ロープ場といっても、油断することなくゆっくりと下りていけば、さほど問題となる坂ではなさそうだ。この後は、比較的急な坂が真っ直ぐに延々と続いたが、このコースを登りに選ぶとなかなか苦労しそうだ。まあ、そのおかげでどんどんと標高を下げ、あっという間に里まで降りてこられた。

山頂直下のロープ場。画像では高度感は伝わりにくいが、そこそこ。

ただ、そんなあっという間に下りた下り坂でも、踏ん張り続けの下り坂だったので運動不足の2人の足にはそれなりに効いたらしく、その後、膝をガクガクさせながら、田野倉の集落を歩くことになった。そうそう、今回は下りる途中の登山道で、恐ろしい生き物に出会った。マムシである。写真では見たことがあったが、実物を見るのは今回が初めて。その場を離れた後も、やや小柄でうすきみの悪いあの赤茶けた紋様とでもいおうか、体表の柄がずっと頭に残ってしまい、やや神経質になってしまったようだ。それにしても、今まであまり考えたことはなかったが、改めて考えてみると、登山って当たり前だけど山の中を行動するものだから、マムシと遭遇しても不思議ではないということ。山での危険動物は何も熊だけではないということか。以後気をつけることにしよう。

田野倉集落を歩いていたらしょう洒な洋館を見つけた。尾県郷土資料館というらしい。

その後、1時間に1本の富士急行にもタイミングよく乗れて、無事、最寄駅についた2人は、事前に示し合わせたわけでもないのに、まだ日が高いことも気にすることなく、当たり前のようにいつもの居酒屋に向かい、当日の山話に花を咲かせた。うん、電車でのアクセスもなかなかいいものである。

さて、次はどの山歩こう。

【Start 8:58JR初狩駅~10:46高川山山頂~12:39古宿集落~Goal 13:25田野倉駅前】
総行程は、距離約 8.5km、出発地点標高472m、最高標高976m(山頂付近)、最低標高396m(田野倉集落内)、移動平均速度 約1.9km/h、総所要時間4h26m(recorded by garmin、3時間コースのはずなのに...)

2020年11月1日日曜日

渋滞山『日光白根山』

下山時に撮った一枚。山頂部の三つのドーム状地形が特徴的

 コロナ禍、GoToトラベルを利用したことのなかった我が家としては、一度は利用してみたいものだと、どこに行こうか考えていたところ、ちょうど家内が丸沼高原のゴンドラ券を2人分もらってきたので、であれば関越道の付近がよいかと方向性は定まった。もちろんゴンドラを利用しての『日光白根山』を歩いてからの泊まりである。この山は一度歩いたことがあるが、その時の印象としては、とにかく人が多く、賑やかな山で、山歩きにどちらかと言えば静寂を求める自分としては(普通そうかな)、あまり気乗りのしない山であった。とは言っても、せっかくのGoToトラベルとゴンドラ券、お得感満載の山旅企画を自称ケチ男の自分が手放すわけもなく、善(?)は急げと言うことで、その週の週末に行くこととした。GoToトラベルを利用するには、まずは旅行会社を通じてホテルを予約する必要があるので、最近ハマっている「YYねっと」で検索したところ、該当地域に温泉旅館が一部屋だけ空きが残っていた。激安サイトで最後に残った部屋がどんな部屋なのかと、やや不安を覚えながらもポチッとして当日を待つこととした。

公式サイトはこちら。

出発の朝は意外にも晴れ。早い時間にもかかわらず通行量の多い関越道をゆっくりとスタートし、沼田インターからの日本ロマンチック街道もそこそこスムーズに通行でき、朝の9時前にはゴンドラ乗り場に到着した。当のゴンドラ乗り場はというと、それほど長い行列ができているわけではなく、渋滞の不安は思い過ごしかなと一瞬思いつつ、全長2500m、高低差600mをたった15分で一気に登った。いや、運んでもらった。実に楽ちんである。

新しくロープウェイのセンターステーションができていた

頂上駅を降りて、二荒山神社で山行の無事を祈り、すぐ脇にある登山口に入った。登山道は、最初の200〜300mくらいだろうか、砂利が敷き詰めてあって、なんとも残念な感じはあるが、そこを過ぎるといよいよ山らしくなってくる。今回のルートは山頂駅から七色平分岐経由で山頂を目指し、帰りも同じルートで下りてくる最短ルート。何せ運動不足なもので、このくらいが適当かと思い、このルートに決めた。我ながら情けない...。

歩き始めは残念な砂利道登山道...。

ルートの大半はトラバースと言っていいのかもしれない。多少のアップダウンはあるものの、基本、シラビソ、ダケカンバ、白樺などが混じる緩やかな樹林帯を余裕を持って歩いていくことができる。2時間ほど歩くと九十九折の登りが始まり、30分もかからず森林限界に達するが、どの山を歩いてもそうだけど、この樹林帯を抜けた時の開放感は実に気持ちがいい。ただ、楽をして高山を味わおうとした身としては、森林限界に達して初めて見える山頂付近までのそれなりの距離感によって、開放感のすぐ後に脱力感を覚える人もいるようだ。家内がまさにそう。久々の山歩きで体力をそこそこ消費した登りで迎えた森林限界。多少の達成感を得られた直後の現実にややヤラレタそうです。

森林限界に達した光景。山頂はまだまだです。

森林限界のあたりには、名は知らぬ低木や高山植物がたくさん生えていて、どれもその体に真っ白な霧氷をまとい、それが陽の光に当たりキラキラと輝いていた。この季節ならでわのプレゼントに思わず穏やかな気持ちになる。ふと気づくと空は青く、風が少し当たるようになり、周りには達成感を得たためか、それとも脱力感から抜け切れないでいるためか、たくさんの登山者が休憩をとっていた。見上げると山頂に向かう登山道は、色とりどりの小さな粒となった登山者が数珠つなぎで山頂へ向かっている。ちょうどいい頃合いなので、自分たちもここで小休止してから再び気合を入れ直すことにした。

霧氷が日に照らされてキラキラしてました。

小休止後の登山道は火山にありがちな、いわゆるザレ場の登山道で、一歩前に踏み出しては三分の一後ろにずり落ちることの繰り返し。「こういうものなんだ」と割り切って歩かなければ心が折れそうになる登山道。とにかく一歩一歩、着実に少しずつでも前進することを無心で繰り返す。そうすると、ふと気づくと高みに上がっている。自分が登山で得た教訓もそう、やや大袈裟かもしれないけど、人生にとってもそうした考えはとても大切だと思う。一歩一歩、着実にである。

ずいぶんと登ってきました。山頂はもうすぐです。

ただ、そんなザレ場もそう長くは続かず、最後の急登に取り付く。際立つ危険箇所もなく、気づけば登山隊のような列の一部になっていた自分たちも、彼らとともにゆっくりと目前の山頂を目指す。登り切ったところが山頂、と思いきやさらに向こうに高みが見える。えっ?どういうこと?そういえばこの山、ロープウェイ山頂駅から臨む山頂部分が三つのドーム状に分かれていたことを思い出す。ということは、向こうの高みが本当の山頂ということか。ただ、その山頂を望むと記念撮影のためか長蛇の列。しかもさらに次々と山頂に向かって登山者が岩をよじ登っている。もっと言えば、山頂に向かうためには、一旦20mほど下ってから登り返さなければならない。自分は大丈夫だったけど、家内はすでに気持ちが切れてしまったらしく、「2度目の山だしね」と、あっさり登頂は諦めた。まあ、それでも十分に満足した様子である。

この様子を見て、家内は萎えてしまったようです。

その後、風を避けるため、昔の火口跡だろうか、窪んだ円形状の広場のような場所でお昼ご飯のカップ麺を食べ、おそらく氷点下近傍だろう凍える場所には長居は無用と、準備してきたコーヒーを飲むこともなく、下山することとした。下山時にもまだまだたくさんの登山者が登ってくる。驚いたのは、今から登頂を目指したら確実に下りは日が暮れるだろうという時間に登ってくる、いかにも登山初心者の皆さん。さすがに途中で引き返すんだろと家内と話をしながら、すれ違った後の彼らの後ろ姿を眺め、どうか無事に下山できますようにと心の中で祈った。

登山道はシラビソの森。人がいなければ静かなはずなのですが...。

自分たちといえば、まあ、難なく下山を果たし、ロープウェイ山頂駅に到着。振り返り改めてこの山の全容を眺め、「なんだかんだ言って、大きな山だったね」と、家内が一言。確かにそうだ。関東以北最高峰、2578m。深田百名山にも選ばれているブランド山だ。しかもロープウェイで2000mまで運んでくれるので比較的楽に登ることができるのだから、老若男女、登山初心者まで気軽に訪れることができる山だろう。ただ、そうは言っても相手は立派な山、危険はつきもので、過去には滑落などの遭難事故も発生している。初心者の皆さん、どうか山を甘く見ず、しっかりとした準備で臨んでください。そうしていれば、必ずや山はあなたの味方になってくれて、楽しい山歩きができると思います。山は厳しいけど楽しいものです。

さて、次はどの山歩こう。

この日の宿の近く。お分かりだろうか。

ちなみに、この日の宿は温泉街の思いっきり外れにあるひなびた温泉旅館。案内された部屋は地下で、一晩中(おそらく)部屋の外からエンジン音に似た機械音が鳴り響いていたが、幸いにも疲れとお酒のおかげで寝不足になることはなかった。残り一部屋には十分に注意ですね。新たな教訓です。

【Start 9:18ロープウェイ山頂駅~9:59七色平分岐~12:12日光白根山山頂付近(昼食休憩)~13:58七色平分岐~Goal 14:32ロープウェイ山頂駅】
総行程は、距離約 7.2km、出発地点標高1990m、最高標高2578m(山頂付近)、最低標高1990m(出発地点)、移動平均速度 約1.4km/h、総所要時間5h14m(recorded by garmin、4時間10分コースのはずなのに...)

2020年8月30日日曜日

世代交代 ー 普段履きのARC'TERYX(アークテリクス) ー


なかなか良くないですか、コンシール LT シューズ

今履いている靴、毎日の通勤時だけでなく、休日の行動に至るまで、TPOにかかわらずとにかく「いつもどこでも」この靴を履いて歩き回っていた。そこそこ見栄えも良く、なんといっても自分の足にとてもフィットしていて、とにかく歩きやすかった。そんなことだから、たった2年余りでしっかりとボロになってしまった。

今回新たに購入したのはやはりARC'TERYX(アークテリクス)で、KONSEAL(コンシール) LTというタイプのアプローチシューズ。LTという名がついているだけあって、とても軽くて、しかもやはり自分の足にジャストフィットしていて歩きやすい。ただ、素材が比較的固いので、ヒール上部による擦れでこのシューズを履いた初日には靴擦れのような症状がでてしまった。まあ、これもじきになれるでしょう。ちなみにヒールはフラットに折りたためるとのメーカー説明にあるようにサンダルのような履き方ができるらしいが、自分には不要な機能だろう。

これからは、このシューズ、通勤時は履かないようにして、もう少し長持ちするように履こうかなと思っている。決してお安い買い物ではないですからね。大切な物は大事に扱いましょう、自分。「はい」。

2年履いた結果こんな感じ。大変お疲れさまでした。ありがとう。

2020年8月23日日曜日

家内に見せたかった景色『千畳敷カール』と『木曽駒ヶ岳』

千畳敷カールの登山口。ここから本格的な登りです。

先週、久しぶりに山を歩いてきた。この時期に出歩くことはいかがかなとも思ったけど、自分も家内もストレスが溜まりまくっていたし、毎日の生活に疲れ切っていたので、今、山に行かなければと思った。つまり不要不急ではないのだからと、勝手に納得し、出かけることにした。向かったのは『木曽駒ヶ岳』。この山は自分は3度目だけど、運動不足の今の2人にはちょうどいい楽チンコースだったし、なにより、あの美しい景色を一度は家内に見せたいと以前から思っていたので、ここを選んだ。

ロープウェイ駅から出るとこの景色

移動は駒ヶ根までを自家用車で行き、バス停のある駐車場(今回は黒川平)から、バスとロープウェイを乗り継いで、一気に2612mの千畳敷駅に降り立った。この日は快晴、目の前には期待を裏切ることなく、光の強さからの青の濃い空と、緑と白い岩のコントラストが美しい千畳敷カールが、まさしく壮大なスケールで真正面にどーんと広がっていた。しばし無言の後に出たのが「凄い」の一言。しかも2600mの世界は日差しこそ強いが、日陰に入ると20℃を下回る涼しさ。「たまらない」と、次の一言。ただ、人気のこの山、こんな時期であっても登山者だけではなく、普通の観光客で溢れかえっている。一瞬、コロナのことを忘れかけるが、そこは、皆マスクを着用しているので、「ああ、そうか」と現実に引き戻される。登山道を目で追うと、乗越浄土に向かう八丁坂には米粒のように見える沢山の登山者が連なって見える。みんな、むしろこんな時期だからこそ、ここを選んだのかなと、しばらく会っていなかった山仲間を見つけたかのような、あったかな気持ちになると、自分も駒ヶ岳神社で山行の無事を祈り、歩き始めた。

駒ケ岳神社に山行の無事を祈って、さあ出発。

歩き始めると実に気分がいい。そうだそうだ、山歩きってこんな感じだったと、一歩一歩を噛みしめるように大事に歩を進めた。登山道の周りにはピークこそ済んだようだが、まだまだ高山植物が咲き乱れている。シナノオトギリ、ヨツバシオガマ、ミヤマアキノキリンソウ、どれも自分たちを待ってくれていたかのように、生き生きと、そして可憐に顔を見せてくれた。だんだんきつくなってくる八丁坂の登りに、息がぜいぜいとしてきても、そのこと自体が嬉しく、楽しかった。そうだ、自分は山に帰ってきたのだと。家内もやはり楽しそうに歩いていて、随所に「来てよかったね」、「きれいだね」と、目をキラキラさせてご満悦の様子。きつい登りでも持参してきた携帯酸素を口元に当ててニヤニヤしながら「生き返った」と楽しみながら歩いている。自分も、「ああ、本当に来てよかった」と思いながら、坂の途中で振り返り、いつのまにか遙か下の方に小さく見えるロープウェイの駅を見下ろした。

ロープウェイ駅が小さく見える。遠国は南アルプスも。

乗越浄土に着くと、たくさんの人で賑わっていた。どの顔も生き生きとしている。みんな、この日この時の喜びを、抑えることなく表情に出ているようで、そんな顔を見るだけで、こっちまで嬉しくなる。自分たちは、ここで昼食タイム。これから歩くことになる中岳を眺めながら、サンドウィッチを頬張る。こちらの景色もくっきりと鮮明だ。この日は暑いのにもかかわらず、雲が湧く気配もなく、ジリジリとした日差しが肌を指すが、たまに吹く風が冷たく心地いい。そう、ここは2800mの世界。ここからは、自分の記憶の中ではきつい登りがほとんどなく、丘を越える程度の登り坂だと中岳を間近に見るまでは疑いようもなくそう思っていた。だが、記憶とは実に曖昧で、そんな中岳でさえ今の自分にはそれなりの急登に感じた。やはり体力は確実に落ちているのだろう。

乗越浄土から伊那前岳方面を望む。

ただ、中岳を過ぎるとテン場は目の前。坂を下ってすぐそこ。この日は日曜日なのでテン場は閑散としている様子。ここのテン場は、データによると70張くらいのキャパらしいが、見る限り20張そこそこで、ゆとりを持った幕営が出来そうだ。頂上山荘で受付を済ませ、周りテントなし、トイレもまあまあ近し、展望もそこそこ、もちろん地面もフラットな、まあまあそこそこの場所に決めた。贅沢を言えばキリがないが、普段の混み様から考えると、最高の場所だろう。家内も何度目かのテント張り、さすがに手際も良くなってきた。

中岳から木曽駒ヶ岳方面を望む。テン場と白川郷の傘兄さんが被ってしまった。

2人でチャチャっとテントを張り終えて、一休みをした後、木曽駒ヶ岳登頂を目指した。テン場からはおそらく30分程度の距離。やはり山頂直下は自分の記憶に反して、それなりの急登ではあったが、それでも身軽なサブザック歩きだし、時間がたっぷりあることの心の余裕もあり、ゆっくりと着実に歩を進め、難なく山頂に辿り着いた。山歩きとしては、やや物足りなさがあったせいか、達成感はほどほどではあったが、それでも2962mの山頂に立つということは気持ちがいいものだ。360度のパノラマ、いつ以来だろう。比較的広い山頂をうろうろと歩き回り、じっくりと見て回った。展望は説明するまでもなく最高。南アルプス、八ヶ岳、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、振り返っての中岳、残念ながら富士山は霞んで見えなかったが、それを差し引いたとしても、最高と感じた。山に来てよかった。ところで、この山頂には立派な祠が二ヶ所もあったんだと、改めて気づく。信仰に厚い山なのだろう。しっかりと登頂のお礼と下山も無事であることを祈念し、手を合わせた。家内と2人、しばし、腰を下ろして展望を楽しんだ後、テン場に戻ることに。この頃になると、久々の山歩きのせいか、膝がガクガクと笑い出していた(涙)。

2956m、木曽駒ヶ岳に登頂です。広い山頂にはたくさんの登山者が。

テン場に着いて一息ついても時間はまだ午後2時、まだ早いかなと思いつつ、我慢ができず始めることとした。この時のためにと、昨夜から冷凍庫で凍らせ、久々の山行にも拘らず2kg以上の重量を担いで持ってきたのは、ビール350g缶6缶。この時間になると程よく溶けていて冷えも最高。青空の下のテン場での冷えたビールは、もしかしたら歩くことより楽しみだったりして。早速「かんぱーい」。実に美味い、日頃の頑張りがこれだけで報われた様な気がする。頑張ってきてよかった。家内も本日一の笑顔。何もかも忘れての幸せな瞬間でした。そしてビールのお供にはウィンナーをバーナーでパリパリに焼いて、熱いままをカプリ。これまた最高なんです。ああ、美味しかった。投稿を書きながら思い出してよだれが出てきそうです。そんな感じで1人3本のビールは大事に飲みつつもあっという間になくなってしまった。もちろん、この間、ふと気づくと美しい山に囲まれた非日常の空間に驚き、遠くの南アルプスに目を細め、そして空の近さに再び驚くとともに腹の底から湧いてくる幸福感を感じながら、家内とたわいのない話しに花を咲かせた。

テン場の様子。ざわつき感は一切なく、あるのは静寂と山だけ、って雰囲気です。

一旦、昼寝をした後、夕方にお腹が空いたので起き出し、アルファ米で夕食を終えると、午後6時前、ならばアーベンロートを見ようかと、中岳巻道方面の西側斜面に移動。同じ様なことを考えていた人が何人かいて、みんなで静かな夕暮れ時をじっくりと楽しんだ。こんなにじっくりと夕日を見るのは果たしていつ以来だろう。沈む夕日は明日への期待を貯め置いて、再び、今度は東の空からその期待を現実のものとして授けてくれるに違いない。そんなことを考えていると、3000m近くの日暮どき、急に冷え出した気がして、テン場に戻りシュラフに潜り込むと、さすがに疲れが溜まっていたのか再び眠気に襲われ、そのままご就寝。楽しさ盛り沢山の充実した1日が終わったのだった。

中岳でのアーベンロート。撮影者はもちろん自分。

翌日は、駒ヶ根のソースかつ丼をお昼に食べる予定にしていたのだけど、朝4時半に起きて日の出を拝んでしまったものだから、時間は超余裕の状態。ゆっくりと撤収し、ゆっくりと歩き、ゆっくりと剣ヶ池を見て周り、ロープウェイ駅前のオープンスペースでゆっくりとコーヒーを飲み、そして、あっという間に下界に降りてきた。下界は暑かったが、この山での体験は自分の体にしっかりと刻み込まれていたようで、なんていうか一皮むけたとでもいうのか、デトックスできたとでもいうのか、暑さに負けそうになる体のだるさはなくなっていた。また、現実世界が始まるが、しばらくは頑張れそうな予感がした。やっぱり山ってイイです。

さて、次はどの山歩こう?

今回、ライチョウを期待したが、出会えず。ただ、ホシガラスとは出会えました。

【1日目:Start 10:11ロープウェイ千畳敷駅~11:15乗越浄土~12:15頂上山荘~13:07木曽駒ヶ岳~13:50頂上山荘】
1日目の行程は、距離約 3.1km、出発地点標高2612m、最高標高 2956m(木曽駒ヶ岳山頂)、最低標高2612m(ロープウェイ駅)、移動平均速度 約0.8km/h、総所要時間3h49m(recorded by garmin)

【2日目:Start 6:35頂上山荘~7:14乗越浄土~8:13剣ヶ池~8:25ロープウェイ千畳敷駅】
2日目の行程は、距離約 2.1km、出発地点標高2866m、最高標高 2925m(中岳山頂)、最低標高2606m(剣ヶ池前)、移動平均速度 約1.1km/h、総所要時間1h50m(recorded by garmin)

2020年8月1日土曜日

WITH CORONA – MILLET deltamask –

最近、噂のミレー、デルタマスク。

新型コロナの感染者増加の勢いが強くなってきている今日この頃、世の中的には登山に行くことなんかはおそらく論外で、声に出すことも憚られる状況にあるのかも。このウィルスが本格的に流行し始めてからは、山を訪れていないので、自分自身、山の状況が今ひとつ見えないが、果たしてどのくらいの登山者が山に入っているのだろうか。
TwitterやInstagramの情報を見る限り、山は絶対ダメというわけではないようだが、現場は本当にそうなのだろうか。登山口のある集落などは、登山者が来ることを嫌がっていないのだろうか、恐れていないのだろうか。そんな、潜在的な不安が山へ向かう気持ちを萎えさせてしまっているのだと自己分析しているが、そうは言いつつも、身体のどこかで?頭のどこかで?心のどこかで?よくわからないけど、山を求めている。やっぱり山に行きたいのだ。

ようやく湧いてきた山への思いに応えるために少しだけ動いてみた。山でも咳エチケットは必須らしいので、頑張って噂のミレー、デルタマスクを購入した。手に入れるのにはやや苦労したが、とにかく手に入れた。ミレーの公式ホームページには、野口健さんとの共同開発したこのマスク、「完売しました」のお詫びサイトができていたが、そんなに反響があったのか?
このデルタマスク、素材には速乾性で知れたポーラテック社のデルタを採用し、その特性でもあるウロコ状の素材が肌に密着することなく、通気性を向上させているようなのだ。確かに着けた感じも顔にべったりと付く感じはなくて、無数の突起を直接感じることができる。これはイイ、これなら普段のランニングもそうだし、もしかしたら山を歩いているときも装着したままでも行ける気がする。なんだか、少しだけ新たな山歩きのイメージが湧いてきました。

あとは、移動時や登山口、山小屋や山頂など、人が集まる場所での密にならない行動に配慮し、もちろん怪我や遭難することなくすれば、これからのウィズコロナの時代にあっても純粋に山歩きを楽しめることができるような気がする。さて、そろそろ梅雨も明けそうだし、夏山登山でも計画しようかな。

ポーラテック社のデルタの実力は、もしかしたらマスクで最も発揮されるかも。